【MR未リーチ】オムニチャネル推進のヒント:医師の声から知るチャネル連携の実態【DLあり】
専門領域の薬剤情報について、具体的にどのチャネルでどのような情報を得ているのか、医師171名に対するアンケート調査の結果を紹介します。
DM白書ラボでは医師が薬剤の情報収集時に利用するチャネルについて、またその際に取得する情報について医師インタビューを行ってきました。今後、DM白書においてチャネルを連携した情報収集の定量化を行う予定です。
本記事では、DM白書調査のための事前アンケート結果から、MRチャネルを利用していない医師の回答を紹介します。
目次
調査概要
- ● 調査期間:2025年2月20日~2月25日
- ● 調査方法:インターネット
- ● 有効サンプル数:MCI調査パネル医師171名
- ● 設問・集計方法:「専門領域の薬剤情報を収集する際、先生が最も頻繁に行っている「情報源を組み合わせた情報収集」の具体的な方法について教えていただけますか?(自由回答)の回答内容を集計
「最初に情報を得た後、別のチャネルで情報を確認する」医師の割合は約50%
設問「専門領域の薬剤情報を収集する際、先生が最も頻繁に行っている「情報源を組み合わせた情報収集」の具体的な方法について教えていただけますか?」への自由回答結果から、利用しているチャネルとその連携方法を集計しました。
その結果、「最初に情報を得た後、別のチャネルで情報を確認する」と回答した医師は全体の約半数でした。
※本記事に掲載されている図表をすべてダウンロードしてご利用いただけます。
情報収集チャネルにMRを含まない場合、最初の情報収集のみ行う医師が約60%
情報収集チャネルにMRを含む医師群と、含まない医師群に分類した結果です。
※本記事に掲載されている図表をすべてダウンロードしてご利用いただけます。
情報収集チャネルにMRを含まない医師群では、最初の情報取得のみと回答した医師が全体の約60%となり、情報収集チャネルにMRを含む医師群と比較して差があることが分かりました。
【MRなし】最初に情報を得た後、別のチャネルで情報を確認する医師のコメント(抜粋)
● 医療系ポータル → 他チャネル
当院はあまりMRが来ないので、まずは医療系ポータルサイトで新薬などに関する情報を収集し、製薬企業ウェブサイトで詳細を確認、さらにWeb講演会でオピニオンリーダーの説明を受け、具体的な薬剤の使い方などを習得しています。
- その他の病院(国公立以外の病院) 一般内科/総合診療科 60代
日常的には医療系ポータル(m3、Medpeer、CareNet、日経メディカルオンラインなど)にて情報収集を行い、必要に応じ製薬企業やPMDAのウェブサイトにて情報を得ています。また、学会・研究会で最新情報を収集するよう心がけています。
- その他の病院(国公立以外の病院) 脳神経外科 60代
Web講演会や医療系ポータルサイトを毎日確認しており、その中で気になった薬が有れば製薬会社のホームページにアクセスして個別に調べている。同時に他の文献も確認しながら実際に処方をするかどうか決めている。
- その他の病院(国公立以外の病院) 一般内科/総合診療科 30代
いくつかのポータルサイトからの来る日常診療のポイントや講演会の情報で、日常診療に必要なところを見ている。そこから企業のサイトに行くので、直接企業サイトに行くことはほぼない。薬剤情報もポータルサイトの薬剤情報から入って見ていく。
- (国公立以外の病院、心臓血管外科、60代)
専門領域の使用薬剤について情報を収集する際、まずm3やCareNetにアクセスし、新薬や適応拡大の紹介記事を確認し、エビデンスとなる臨床試験の論文を精査します。その後、X(旧Twitter)で専門家の意見を収集し、さらに同僚や薬剤師と議論を重ねることで、実臨床に即した知見を得るよう努めています。こうした多角的なアプローチにより、より正確で実践的な情報を得ることができます。
- 国公立病院 呼吸器内科 40代
● 他チャネル → 医療系ポータル
Web講演会視聴後にyahoo検索を行うことが多い。製薬企業ウェブサイトのヒットが多く、医療系ポータルでは、CareNetや日経メディカルオンラインがヒットすることが多い。m3、Medpeerはほとんどなし。他は医療機関のサイトも時々ある。
- その他の病院(国公立以外の病院) 一般内科/総合診療科 60代
まずは、ガイドラインです。が、自分で読んだだけでは、不十分なことがあるので、他の医師や先輩医師の意見や教えを頼りにします。同時に医療サイトの記事を検索したりもします。勉強会や学会があれば、参加して教わってくることもあります。
- 診療所・クリニック 一般内科/総合診療科 50代
Web講演会で新たな情報を得て、医療系ポータル(m3、Medpeer、CareNet、日経メディカルオンラインなど)や論文検索及び学会報告を参考にする。ありふれた病態であれば、上記で概要を十分に把握できる。
- 国公立病院 循環器内科 40代
>> そのほかの医師コメントはダウンロードデータに掲載しています。ぜひご覧ください。
【MRなし】最初の情報収集のみ行う医師のコメント(抜粋)
● 医療系ポータル
医療系ポータルであるm3、Medpeer、CareNet、日経メディカルオンラインなどが、手軽に行うことが出来ますし、ポイントも付くので、ありがたいと思っています。
- その他の病院(国公立以外の病院) 精神科 50代
さいきんMRからの情報提供は、めっきり少なくなりました。研究会などで、昔知っていたMRさんとたまに話すくらいですね。そんな中で、web上の情報提供はありがたいです。 M3や、ケアネットをよくつかっています。
- 国公立病院 泌尿器科 50代
田舎で仕事していると、全く情報が入ってきません。しかし、コロナ禍より、オンラインの製薬会社やM3などの医療系サービスの充実で、ローカルにいても、情報に多少アクセスできるようになり、ありがたいなあと感じております。
- 診療所・クリニック 一般内科/総合診療科 50代
● 医療系ポータル × その他のチャネル
M3やMedpeerのようなサイトや直接Googleで情報を手に入れます。今は病院に優秀な薬剤師がいるので、薬剤師さんに投げて、その結果で処方をどうするか考えたりします。あとは、同僚や上司の意見は大事ですし、他の人がどんな処方をしているのかパクって、その効果を評価することも多いです。
- その他の病院(国公立以外の病院) 循環器内科 50代
MRの方と面談をするのはリモートにしろ対面にしろ時間を合わせるのがめんどくさいので、もっぱらm3などのポータルサイトの情報とウェブの講演会を時間のある限り専門非専門にかかわらず聞くようにしています。聞きっぱなしにするのではなく、ノートにまとめて読み返すのがポイントだと思います。
- 国公立以外の病院、代謝・内分泌・糖尿病、60代
医療系ポータルがほとんどです。同僚の医師からも情報を収集します。その上で、患者を厳選し、試しに使ってみて、効果や副作用を確認します。MRとの面談で情報収集することはほとんどありません。そもそもいらっしゃらないので。
- その他の病院(国公立以外の病院) 精神科 50代
>> そのほかの医師コメントはダウンロードデータでご確認ください。
ラボ編集部からのコメント
MRを使わずに情報収集する医師群に「最初の情報取得のみ」と回答した医師が多い背景には、MRを利用する医師に比べて、短時間で必要な情報収集を行いたいというニーズが強いということが考えられます。
一方で、MR以外の複数のチャネルで情報確認を行う医師の回答からは、さまざまな情報ソースを確認しながら知識を深めていく医師の姿が見えてきます。
情報収集パターンは多岐にわたるため、医師がよりスムーズに情報収集するためにはオムニチャネルの推進が必須であるといえるでしょう。
>> 本記事でご紹介している図表と全医師コメントはダウンロードデータで提供しています。
今後明らかにしていくこと
次回は、MRを含む情報収集についての具体的なコメントを紹介します。
(文:松原)
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