働き方改革による、MRとの面談時間減少の実態
「DM白書ラボ」では、DM白書ご購入企業様からいただいたご要望の中から、各社共通のニーズと思われるテーマをピックアップし、深堀分析を行っています。今回は、昨年より特集テーマとして調査している「医師の働き方改革」の影響について、追加の分析結果をご紹介します。
DM白書2023年冬号の調査では、2023年10月時点で既に労働時間短縮計画を推進中の施設に勤務する医師のうち、計画推進前後を比較して「MR(面談)から情報入手する時間が減った」と回答している医師が約20%を占めています。それらの医師について、実際にどの程度MRとの面談機会が減少しているか、代替チャネルは何であるかについて追加の集計を行いました。
前提条件
・HPの医師に限定したうえで、施設形態別に集計※1
・労働時間短縮計画が「策定され推進中」の医師のうち、労働時間短縮計画推進前と比較して、MR(面談)から情報収集する時間が「減った」と回答した医師と、労働時間短縮計画が「未着手」の医師で比較を実施。※2
- ※1 設問「先生のご勤務先の施設形態をお教えください。」にて、「大学病院(国公立)」、「大学病院(私立)」、「国立・公立病院」、「一般(民間)病院」のいずれかを回答した医師をHP、「医院・診療所・クリニック」と回答した医師をGPと定義し、HPに絞って集計。「大学病院(国公立)」、「大学病院(私立)」は合わせて「大学病院(国公立・私立)」として集計
- ※2 設問「2024年4月に開始される医師の時間外労働規制に備えて、先生のご勤務先での医師労働時間短縮計画策定状況をお教えください。」にて「計画策定され推進中」と回答し、設問「医師の働き方改革にともなう労働時間短縮計画推進前と推進後で、先生が各媒体から疾患・薬剤情報を得る時間はどのように変化しましたか。」にて、「MR(面談)」について「減った」と回答した医師を対象に集計を実施。労働時間短縮計画が「未着手」と回答した医師を比較対象とした。
結果サマリ
チャネル別の1週間あたりの接触時間※3を用いて、施設形態別に各チャネルから情報収集する時間の差について集計しました。
- ※3 設問「各媒体から疾患・薬剤情報について、1週間に何時間ぐらい情報提供を受けていますか。平均的な時間をお教えください」における回答の平均を集計。インターネット講演会、学会、製薬企業主催の勉強会・説明会については、設問「各会合の参加状況についてお教えください」にて「半年間で参加する回数」「1回あたりの参加時間」を回答したものを、週あたりの時間に換算。
【労働時間短縮計画が未着手の施設に勤務する医師との比較・勤務施設形態別】
労働時間短縮計画の推進によりMR(面談)から情報入手する時間が減ったと回答した医師は、1週間あたりのMRとの面談、電話に対する接触時間が計画未着手の医師より短い結果となりました。
一般(民間)病院では、労働時間短縮計画が未着手の施設に勤務する医師よりも約38分短くなっており、大学病院(国公立・私立)では約17分、国立・公立病院では約10分短くなっています。
一方で、接触時間が長くなっているチャネルをみてみると、大学病院では学会誌とインターネット講演会が、国立・公立病院ではその2つに加えてインターネットサイトが、一般(民間)病院ではインターネットサイトと先輩・同僚医師、薬剤師から情報収集する時間が長くなっています。
上記表はこちらより、ダウンロードいただけます。
ラボ編集部からのコメント
2024年4月の働き方改革の新制度施行に先駆けて、労働時間短縮計画が推進中の施設に勤務している医師の中で、MRとの面談時間が大きく減少している医師が現れ始めていることが分かりました。特に一般(民間)病院では、週に2~3回程度の面談機会が失われていると考えられます。限られた面談の時間・機会でどのような情報提供を行い、どのように医師のニーズを満たして処方獲得に繋げていくかという点で、MRのレベルを上げていくことも重要になるでしょう。
一方で、MRとの面談時間が減少している医師であっても、一部のチャネルとの接触時間は計画未着手医師よりも長くなっていることから、院内のタスクシフト等によって生まれた時間を有効活用して、情報を補っていると考えられます。これらの医師に対しては、MRの面談以外のチャネルを通じて、適切なタイミングで情報提供を行うことが求められると考えられます。
また、今回の調査では、各チャネルで情報収集を行った場面について、どのような場所や時間帯であったのかまでは明らかにできておりません。今後は、MRとの面談が減少した医師以外も対象に追加の調査を行い、場所や時間に合わせた医師への情報提供のあり方について明らかにしていく予定です。
出典
DM白書2023年冬号
調査期間:2023年10月13日~10月20日
調査方法:インターネット
有効サンプル数:医師5,069名
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