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「医師の働き方改革」による情報収集への影響(実態)(2023年冬号)

記事公開日 2023.12.13
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記事公開日 2023.12.13

「DM白書」では、チャネル別利用意向やメディアマインドシェアといった定期的に調査している項目に加えて、毎号「特集」として時代のトレンドに合わせた設問を用意し、医師の利用状況や利用意向を調査しています。本記事では、2023年冬号の特集テーマである『「医師の働き方改革」による情報収集への影響(実態)』の選定背景および調査結果の概要をご紹介します。

本記事は、製薬業界の動向を把握していただくことを目的としています。
DM白書に掲載されている詳細なデータについては、本記事では取り扱っておりませんのでご了承ください。

目次

「医師の労働時間短縮計画が推進中」の施設に勤務している医師の情報収集活動に、どのような変化が起こっているか?

選定背景

2024年4月から、医師の時間外労働の上限設定や、連続勤務時間の制限などが設けられる「医師の働き方改革」がいよいよスタートします。「医師の働き方改革」により、医師の薬剤・疾患関連の情報収集方法に影響が出ることが予想されるため、2023年夏号・秋号では、各媒体から疾患・薬剤情報を得る時間がどのように変化すると思うか、今後の想定について調査を行いました。

製薬会社側の意見としては、現時点では「医師の働き方改革」が施行されることによって勤務先施設のルールがどのように変わるか、また、どのような影響が出るか、まだ分からない医師も多いのではないかとのご意見もいただいております。

そこで、「DM白書2023年冬号」では、労働時間短縮計画が「策定され推進中」の施設に勤務している医師に限定して、MRとの面談(対面)およびインターネット講演会を中心に「医師の働き方改革」による影響について、以下の内容で調査を行いました。

・「医師の働き方改革」に伴う労働時間短縮計画の推進前と推進後で、薬剤・疾患関連情報の収集時間がどのように変化したか(チャネル別※1の変化)
・MR(面談)からの情報収集時間が減少したことによる処方判断への影響は?※2
・MR(面談)からの情報収集時間が減少したことによる影響内容は?※3
・インターネット講演会を視聴しやすい曜日・時間に変化はあったか※4
・インターネット講演会の視聴回数に変化はあったか※5

*1 調査対象チャネル:MR(面談)、MR(リモート面談)、MR(メール)、インターネットサイト(インターネット講演会を含まない)、インターネット講演会(インターネット上にて視聴できる講演会)、現地開催の講演会、製薬企業主催の勉強会・説明会、学会
*2 処方判断への影響は次から選択:影響がある、多少は影響がある、あまり影響はない、影響はない、分からない
*3 MR(面談)からの情報収集時間が減ることによる懸念事項は次から選択:薬剤に関する新しい情報がタイムリーに入手できなくなった、薬剤に関する質問・相談がタイムリーにできなくなった、近隣施設の情報が入手できなくなった、気軽な質問や依頼をしづらくなった、その他(FA)、特に困ることはない
*4 曜日・時間の変化は次から選択:変化があった、変化はなかった、分からない
*5 視聴回数の変化は次から選択:視聴・参加回数が多くなった、視聴・参加回数がやや多くなった、変わらない、視聴・参加回数がやや少なくなった、視聴・参加回数が少なくなった

調査結果概要

調査の結果、MR(面談)から疾患・薬剤情報を得る時間が「変わらない」と回答した医師の割合は70%、「増えた」は10%、「減った」は20%という結果になりました。

その他のチャネルでは、「増えた」と回答した割合が最も高いのはインターネット講演会、次いでインターネットサイト、「減った」と回答した割合が最も高いのは、現地開催の講演会、次いで製薬企業主催の勉強会・説明会となりました。

MR(面談)の情報収集時間が「減った」と回答した医師に対して、処方判断への影響について聞いたところ、「処方判断に影響がある」と回答した割合※6よりも、「影響がない」と回答した割合※7が18ポイント高い結果となりました。なお、「処方判断に影響がない」と回答した医師の半分は、MR(面談)の利用意向※8がない医師であることが分かりました。

*6 「影響がある」または「多少は影響がある」と回答した割合
*7 「影響はない」または「あまり影響はない」と回答した割合
*8 製薬企業からの疾患・薬剤情報取得の効率化のために使用する情報源の利用意向

白書編纂チームからのコメント

各チャネルの疾患・薬剤情報を得る時間の変化について、2023年夏号と秋号で調査した「今後の想定」と傾向は変わりませんでした。今後労働時間短縮計画を推進する施設が増える中、事前の想定に違わず医師の薬剤情報収集活動に変化をもたらすことが明らかになりました。また、現地開催の講演会、製薬企業主催の勉強会・説明会、学会など現地参加型のチャネルでは、事前の想定以上に「減った」と回答した割合が多くなっています。

コロナ禍の影響で医師の情報収集活動がデジタルチャネルにシフトしている中、「医師の働き方改革」により、勤務時間内・時間外問わず、MRとの面談や現地開催の説明会、学会などリアルでの情報収集が難しくなり、医師の情報収集活動は、さらにデジタルチャネルへのシフトが加速していることが分かりました。

一方で、新薬は進んで採用・処方を検討する医師群では、「MR(面談)の情報収集時間が減ったことによる処方判断への影響」について、「影響がある」と回答した割合が、「影響がない」と回答した割合よりも22ポイント高くなっています。

MRとの面談を必要とする医師を見極めた上で、環境変化に応じた対策を行っていくことが求められると考えます。

*本データの詳細は「DM白書2023年冬号」掲載

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