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「医師の働き方改革」が及ぼす、製薬企業からの薬剤情報収集活動への影響とは‐上限規制対応済み施設編

記事公開日 2024.04.10
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記事公開日 2024.04.10

取材日:2024年1月

「DM白書2023年冬号」※1で時間外労働規制推進中の施設に勤務する医師を対象に薬剤・疾患関連情報の情報収集時間の変化について聞いたところ、増えたものとして「インターネット講演会」「インターネットサイト」「MR(リモート面談)」「MR(メール)」、減ったものとして「現地開催の講演会」「製薬企業主催の勉強会・説明会」「MR(面談)」の順となりました。

本記事では、各チャネル利用時間の変化が医師の情報収集活動へ与える影響、そして今後の変化について、医師の声をもとに明らかにしていきます。今回は、時間外労働時間の上限規制対応済み施設に勤務する3名の医師に座談会形式でお話を伺いました。

  • ※1 「DM白書2023年冬号」 調査期間:2023年10月13日~10月20日、調査方法:インターネット、有効サンプル数:医師5,069名

目次

薬剤・疾患関連情報の収集時間の変化(実態)

「DM白書2023年冬号」での「薬剤・疾患関連情報の収集時間の変化(実態)」結果は下図のとおりです。

薬剤・疾患関連情報の収集時間の変化(実態)

医師プロフィール

本座談会に参加いただいた医師のプロフィールは下記のとおりです。

A先生 B先生 C先生
施設形態 国公立以外の病院 国公立以外の病院 国公立以外の病院
診療科 呼吸器内科 循環器内科 外科
年代 30歳代 40歳代前半 50歳代
時間外労働の上限水準 A水準 A水準 A水準
時間外労働の上限規制 準備中 実施中 準備中
現在の時間外労働状況 ほぼなし ほぼなし
時間外労働30時間以下の医師が3分の2程度
ほぼなし
長時間働いているのは特定の数名のみで、ほとんどの医師が18時には帰宅。

働き方改革実施前/後のチャネル活用度と、各チャネル利用時間の変化

専門領域の薬剤情報に関する各情報収集チャネルの利用時間について、働き方改革前後それぞれの上位3つを伺いました。

上限規制前後それぞれの利用時間TOP3を教えてください

上限規制前後での医師別利用時間TOP3

インターネット講演会は、働き方改革の影響で時間ができたことにより視聴機会が増加

上限規制前後での医師別利用時間(インターネットサイト/インターネット講演会)

インターネット講演会はみなさん利用時間が増えたTOP3に入っていますね。

インターネット講演会の視聴時間が増えたというのは、働き方改革によって先生ご自身の生活が変わったことも影響しますか?

MR接触の機会は減ったが、必要な情報を入手するために必要だという医師の声も

上限規制前後での医師別利用時間(MR)

A先生は、MR(リモート面談)とMR(面談)が2位ですが、以前と比較してMR(面談)の回数は減りましたか?

回数は減ってもMR(リモート面談)とMR(面談)が2位なのはなぜでしょう?

MR(リモート面談)、MR(面談)どちらも同じような話をされますか?

C先生は、MR(面談)、MR(メール)がMR(リモート面談)へ変わっていますね。

B先生は、以前2位のMR(面談)が現在はなくなっていますが、これはなぜでしょうか。

学会は、相対的に利用時間の順位が上昇

上限規制前後での医師別利用時間(現地開催の講演会/製薬企業主催の勉強会・説明会/学会)

学会の利用時間について教えてください

利用時間の減ったMRの、代替可能な役割、代替え不可な役割

先生方みなさんMRからの情報が減ったということですが、今までMRから得ていた情報はどのように取得されるようになりましたか?

MRからの一方的な情報提供が、先生方が知りたい情報だけをMRから得たい、という形に変わってきたということでしょうか

情報源をまたいだ情報収集について教えてください。MRから情報を得ていたときと、MRから情報を得なくなった現在で、変化はありますか?

利用時間の増えたインターネット講演会の新たな役割

利用時間の増えたインターネット講演会は、これまでと同じように利用されているのでしょうか。

これまでMRが担っていたコマーシャル的な案内が、インターネット講演会の場に置き換わっているということでしょうか。

専門外の情報を取得されることで、ゆくゆくはご自身の診療や患者さんとの対応で役に立つということでしょうか

インターネット講演会を利用して専門外の診療科の情報を取得する形は、医師に時間的な余裕が生まれ、インターネット講演会が増えたことでインターネット講演会自体の立ち位置が変わってきたということでしょうか?

インターネット講演会で疑問があった際にはどのように処理されていますか?

インターネット講演会で疑問に思ったことについて、製薬企業のサイトで調べますか?

2024年4月以降のチャネル利用時間の変化は?

働き方改革が施行される2024年4月以降、現在の順位に変動があると思いますか?

ラボ編集部より

すでに長時間の時間外労働は行っていない上限規制対応済みの施設勤務の医師の声により、利用時間の増加しているインターネット講演会は、専門領域だけでなく専門外の薬剤・疾患情報の収集にも活用されていることが明らかになりました。この背景には、インターネット講演会自体の回数の増加もさることながら、働き方改革によって退勤後の時間が確保できるようになっている点、コロナ以前はいつでも院内にいる存在であったMRの訪問機会が減少したことで、医師が自ら情報収集を行うようになっている点が大きく影響していると言えそうです。

また、インターネット講演会利用時間の増加に伴い、これまでMRが担っていたプッシュ型アプローチの場が、インターネット講演会やインターネット講演会を見るためにアクセスする医療系ポータルサイトへ置き換わりつつあることも明らかになりました。

MRとの接触頻度は下がっているものの、安全性情報などの「製薬会社だからこそ提供できる情報」は、MRを介して素早く的確に入手したいというニーズがうかがえ、この、「製薬会社だからこそ提供できる情報」を医師の望むタイミングでスムーズに情報提供していくための活動が、今後よりいっそう求められると言えそうです。

「DM白書ラボ」では、「新薬処方の各段階における医師のチャネル組み合わせ意向」 として処方の段階別のチャネルの組み合わせ意向を調査しています。チャネル検討の参考としてぜひご利用ください。

次回は、同じテーマで、時間外労働時間の上限規制対応推進中の施設に勤務する医師にお話を伺った内容をご紹介する予定です。(24年5月公開予定)

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