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「医師の働き方改革」が及ぼす、製薬企業からの薬剤情報収集活動への影響とは‐上限規制対応中施設編(後編)

記事公開日 2024.05.22
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記事公開日 2024.05.22

取材日:2024年2月

2024年4月に施行される「医師の働き方改革」は医師の情報収集活動へどのような影響を与えるのでしょうか。

今回は、時間外労働時間の上限規制に「対応中」の施設に勤務する3名の医師に座談会形式でお話を伺いました。今回ご参加いただいた3名の先生方はもともと同じ大学病院で勤務されていらっしゃいましたが、現在はそれぞれ別の施設で勤務されています。

本記事の前編として『「医師の働き方改革」が及ぼす、製薬企業からの薬剤情報収集活動への影響とは‐上限規制 対応中施設編‐(前編)』を公開していますので、合わせてご覧ください。

また、本記事とは別に、すでに上限規制対応が完了している施設にご勤務されている先生方にお話を伺った
『「医師の働き方改革」が及ぼす、製薬企業からの薬剤情報収集活動への影響とは‐上限規制対応済み施設編』を先に公開しておりますので合わせてご覧ください。

目次

医師プロフィール

本座談会参加医師のプロフィールは下記のとおりです。

K先生(大学病院/内科) T先生(私立病院/眼科) M先生(公立病院/内科)
施設形態 大学病院 私立 公立
診療科 内科(リウマチ、膠原病) 眼科 内科
大学病院では感染症専門。現在は内科全般を担当。
年代 30代 30代 30代
時間外労働の上限規制 対応中 対応中 対応中
現在の時間外労働状況 上限規制を超えて勤務 時間外労働は月20時間程度 時間外労働は月60時間程度

インターネット講演会は、興味を持てない場合は再生しているだけのときも

上限規制前後での医師別利用時間(インターネットサイト/インターネット講演会)

調査※1では収集時間が増えたチャネルとして「インターネット講演会」を選択した先生が最も多いのですが、今回TOP1に選ばれているのはM先生だけですね。

インターネット講演会にあまり意味を感じてらっしゃらないということでしょうか?

インターネット講演会の時間は増えたが、しっかりと視聴していないということでしょうか

働き方改革で勤務時間が短くなり、インターネット講演会やインターネットサイトは自宅と院内のどちらで視聴しますか?また、その比率は変わりましたか?

利用時間の増えたインターネットサイトが、最新情報のタッチポイントに

インターネットサイトの利用時間の増減はいかがでしょうか

自分から情報収集するときの時間は増えていますか?

インターネット講演会やインターネットサイトは受動的に情報が入ってくるというお話もありましたが、どの程度必要な情報を得られると期待していますか?

インターネットサイトやインターネット講演会の接触時間が増えたことで、MRからの情報よりも先に、デジタル媒体で必要な情報をキャッチすることが増えるのでしょうか?

処方の意思決定に最も重要な情報源はMR(面談)

先生方がいろいろ検討した結果、「この薬剤を使おう」と意思決定するときに、どのチャネルが最も重要な情報源になりますか?

MRからの情報として期待するのは治験データなどですか?

MRと面談をした後にインターネットサイトで確認したり、インターネット講演会を視聴した後にMRに内容の確認をしたりといった、情報源をまたいだ情報収集はされていますか?

20代医師の情報収集は大きく変化

働き方改革によって先輩の先生や若手の先生とのコミュニケーションの時間は増えましたか?

20代の先生方は情報収集の仕方が違うなと感じられることはありますか?

若手の先生が早く帰られるということですが、若手の先生が少し知識不足だなと思われることはありますか?

2024年4月以降のチャネル利用時間の変化は?

働き方改革で製薬企業は情報提供のためにいろいろと対応しようとしていますが、先生方にインタビューをしている中ではガラッと変わる印象はなかったのですが、いかがでしょうか。

ラボ編集部より

上限規制対応済みの施設、上限規制対応中の施設、それぞれに勤務される医師との座談会を通し、製薬企業からの薬剤情報収集へ働き方改革がどのような影響を及ぼすのか?という問いへの答えが見えてきました。

第一に、これまでMRが担ってきた「医師への最新情報の提供」という役割は、インターネットチャネルの接触機会増加に伴ってデジタルに置き換わりつつあることが明らかになりました。そして、今後MRに期待される役割は、発売後に蓄積されていく情報(RWD)や安全性情報の提供に絞られていくのではないか?と考えられます。DM白書ラボではこれまで安全性情報の提供にフォーカスして深堀調査をしてきました(「MR活動に対する期待事項と現状評価」)が、RWDについても今後調査を行っていく予定です。

第二に、接触頻度の増えているインターネット講演会については、講演会の質の低下や医師の視聴環境による離脱のしやすさなどの要因から、インターネット講演会1回あたりのインパクトが低下してきていると言えそうです。

第三に、定時後の医師の情報収集スタイルの変化についてですが、勤務時間上限規則により、定時後に施設内においてMR面談や製品説明会といった形で情報提供することは難しくなっている点はすでにご認識のとおりかと思います。ですが、医師が定時後に自宅で情報収集をしているかというと必ずしもそうではなく、「施設内に残って情報収集をする」「帰宅後に専門外の情報も含め積極的に自宅で情報収集をする」「帰宅後は情報収集の優先度を下げてプライベート優先で過ごす」など、定時後の情報収集スタイルは医師の価値観によってさまざまであることが明らかになりました。勤務時間が短くなることで、情報収集の形にどのような変化が生まれ、どのようなニーズがあるのかについては、引き続き調査を行っていきます。

出典

DM白書2023年冬号
調査期間:2023年10月13日~10月20日
調査方法:インターネット
有効サンプル数:医師5,069名

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