MR活動に対する期待事項と現状評価
DM白書ラボでは、DM白書本編には未収載のデータを提供しています。今回は、MRの情報提供に対する期待事項と現状の評価についての調査結果を解説します。
「DM白書2023年冬号」(n=5,069名)の回答を対象にしています。
本記事は、ラボ限定調査として実施した「新規処方を決定する、薬剤のプロファイル以外の要因」についての調査の続編です。前段の調査で「MRや企業への信頼感」、「副作用や製品回収などが起きた際のMRや企業の対応力」といった、MR活動がカギになると思われる要素が、処方に大きく影響すると判明したことを受けて、MRに求められている活動について明らかにするために今回の調査を行いました。
前提条件
・いずれの企業のMRからも面談で定期的に情報を取得していない医師を「MRリーチなし」、1社以上のMR(面談)から定期的に情報を取得している医師を「MRリーチあり」と定義。※1
・MR活動の現状評価と期待事項※2について、MRリーチ有無別に集計。
※1 設問「2023年7月~9月末で先生が定期的に取得されていた情報源について、あてはまる製薬企業をすべてお選びください。」にて、MR(面談)について1社以上選択した医師を「MRリーチあり」、「該当企業はない」と回答した医師を「MRリーチなし」と定義。
※2 設問「MR活動の現状評価について、以下の内容ごとに0~5の6段階で評価してください。」、「MR活動で期待することについて、以下の内容ごとにその期待値を0~5の6段階で評価してください。」について回答の平均値を集計。
結果サマリ MRリーチ有無別のMRに対する期待事項と現状の評価
「MRリーチあり」では多くの項目で期待値、現状評価ともにポジティブな評価の基準となる3.0を上回り、「MRリーチなし」は、ほぼすべての項目で3.0を下回る結果となりました。
本コンテンツでは、MRに求められる活動を明らかにすることが目的であるため、以降は「MRリーチあり」に絞ってデータを紹介します。
※MR未リーチ医師へのチャネル展開については、リサーチテーマ「MR未リーチ先における、最適なオムニチャネル展開とは?」で公開しています。
医師のMRに対する期待値が高いものは、「副作用や製品回収などが起きた際の対応」、「自身の専門や興味に合わせた情報提供」、「薬剤に関する相談」の順となっており、期待と現状のギャップが大きいものは、「副作用や製品回収などが起きた際の対応」、「自身の専門や興味に合わせた情報提供」、「治療や診療に関する相談」の順となっています。
結果サマリ 施設形態別のMRに対する期待事項と現状の評価
次に、MRリーチありの医師について医師の施設形態別に追加の集計を行いました。
大学病院(国公立、私立)では「自身の専門や興味に合わせた情報提供」に対する期待値がもっとも高く、国立・公立病院や医院・診療所・クリニックでは「副作用や製品回収などが起きた際の対応」に対する期待値がもっとも高くなっています。また、一般(民間)病院ではその2つが同率1位となっています。
期待と現状のギャップについては、どの施設でも「副作用や製品回収などが起きた際の対応」がもっとも大きく、大学病院(国公立、私立)と比較すると、国立・公立病院や一般(民間)病院、医院・診療所・クリニックの方が全体的に各項目でギャップが大きい傾向にあります。
ラボ編集部からのコメント
前回調査「新規処方を決定する、薬剤のプロファイル以外の要因」において上位回答であった、「MRや企業への信頼感」、「副作や製品回収などが起きた際のMRや企業の対応力」について、MRリーチ先においてはMR活動が大きく影響するということが示唆されました。
処方への影響度が高いMR活動は、期待値、および期待と現状のギャップから以下の3つと考えられます。
●「自身の専門や興味に合わせた情報提供」
●「治療や診療に関する相談」および「薬剤に関する相談」(以下、「相談対応」)
●「副作用や製品回収が起きた際の対応」
「自身の専門や興味に合わせた情報提供」は、各社がオムニチャネル展開を強化する中で注力されているテーマで、今後ギャップは埋まっていくものと考えられます。
「相談対応」は、医師がMRへ連絡しやすい環境を整えつつ、MRが個別の相談に対応できるようサポートを本社側が行う必要があると考えられます。こちらはまだ手薄な印象がありますので、具体的な相談内容のニーズなど、白書ラボでも引き続き調査していければと思います。
「副作用や製品回収が起きた際の対応」は、もっとも期待値が高く、かつ期待とのギャップも大きかったテーマです。既に一部の企業では強化テーマとして取り組んでいますが、未着手であれば間違いなく取り組むべきテーマだと思います。
これらの活動に注力することが、前回の調査で処方判断に大きく影響する要素として挙がっていた、「MRや企業への信頼感」を高め、「副作用や製品回収などが起きた際のMRや企業の対応力」が評価されることに繋がり、新規の処方獲得にプラスに影響すると考えられます。
※ダウンロードファイルでは医師の専門疾患別の回答データも確認可能です。
出典
DM白書2023年冬号
調査期間:2023年10月13日~10月20日
調査方法:インターネット
有効サンプル数:医師5,069名
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