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「医師の働き方改革」が及ぼす、製薬企業からの薬剤情報収集活動への影響とは‐上限規制対応中施設編(前編)

記事公開日 2024.05.15
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記事公開日 2024.05.15

取材日:2024年2月

2024年4月に施行される「医師の働き方改革」は医師の情報収集活動へどのような影響を与えるのでしょうか。

今回は、時間外労働時間の上限規制に「対応中」の施設に勤務する3名の医師に座談会形式でお話を伺いました。今回ご参加いただいた3名の先生方はもともと同じ大学病院で勤務されていらっしゃいましたが、現在はそれぞれ別の施設で勤務されています。

なお、本記事とは別に、すでに上限規制対応が完了している施設にご勤務されている先生方にお話を伺った記事を先に公開しておりますので合わせてご覧ください。
『「医師の働き方改革」が及ぼす、製薬企業からの薬剤情報収集活動への影響とは‐上限規制対応済み施設編』

目次

薬剤・疾患関連情報の収集時間の変化(実態)

「DM白書 2023年冬号」で調査した「薬剤・疾患関連情報の収集時間の変化(実態)」※1の結果は下図のとおりです。薬剤・疾患関連情報の収集時間が増えたのは「インターネット講演会」「インターネットサイト」「MR(リモート面談)」「MR(メール)」、減ったのは「現地開催の講演会」「製薬企業主催の勉強会・説明会」「MR(面談)」の順となりました。

この結果を踏まえ、先生方が実際にどのように薬剤情報を収集しているのか、についてお話を伺います。

薬剤・疾患関連情報の収集時間の変化(実態)
  • ※1 最新のデータは「DM白書2024年春号」に掲載しています。

医師プロフィール

本座談会参加医師のプロフィールは下記のとおりです。

K先生(大学病院/内科) T先生(私立病院/眼科) M先生(公立病院/内科)
施設形態 大学病院 私立 公立
診療科 内科(リウマチ、膠原病) 眼科 内科
大学病院では感染症専門。現在は内科全般を担当。
年代 30代 30代 30代
時間外労働の上限規制 対応中 対応中 対応中
現在の時間外労働状況 上限規制を超えて勤務 時間外労働は月20時間程度 時間外労働は月60時間程度

勤務している医療機関の働き方改革の対応状況

ご勤務先の働き方改革への対応状況を教えてください。

働き方改革への対応状況は大学病院の方が遅れているのでしょうか。

働き方改革が施行される4月以降に、施設で新たに実施されることはありますか?

働き方改革実施前/後のチャネル活用度と、各チャネル利用時間の変化

上限規制前後それぞれの各チャネルの利用時間TOP3を教えてください。

上限規制前後での医師別利用時間TOP3

MR(面談)は、替えがきかない重要な情報源

上限規制前後での医師別利用時間(MR)

皆さんMR(面談)が上位になっていますが、DM白書の調査では「減った」という先生の方が多くなっています。どのような理由が考えられるでしょうか?

MR(面談)が1位の先生は、MRに声をかけて来てもらっていますか?

院内にいる時間が短くなったことでMRの面談を断ることはありますか?

お昼時に面談は迷惑ではないのでしょうか?

面談の時間が限られてきますよね。「簡潔に伝えて欲しい」「自分にとって必要な情報だけ持ってきて欲しい」など、MRへの要求レベルがこれまでとは変わってくるのでしょうか?

勤務時間が短くなったことによって、MRの利用目的や利用法が変わったということはありますか?

MR(リモート面談)やMR(メール)でのコミュニケーションはお話に出てきていませんが、利用されていないのでしょうか?

現地開催の講演会、学会は説得力のある情報源であり、医師のコミュニケーションの場としても重要

上限規制前後での医師別利用時間(現地開催の講演会/製薬企業主催の勉強会・説明会/学会)

現地開催の講演会、製薬企業主催の勉強会・説明会、学会についてお話をきかせてください。

K先生とM先生は学会や講演会での情報収集についてどのようにお考えですか?

現地開催の講演会は先生同士のネットワーキング的な意味合いもあるかと思うのですが、インターネット講演会が増えている中で、その部分について皆さんはどうされていますか?

お話を伺うとリアルな場での情報収集は重要とのことですが、実際には現地開催があってもT先生以外はトップ3に入ってこないのはなぜでしょう?

『「医師の働き方改革」が及ぼす、製薬企業からの薬剤情報収集活動への影響とは‐上限規制 対応中施設編 ‐(後編)』(2024.05.22公開予定)へ続きます。

ラボ編集部より

先生方のお話により、大学病院における働き方改革の時間外労働上限規制への対応は、大学病院以外の施設と比較すると遅れているという実情が見えてきました。

ですが、どの施設形態においても、医師の勤務時間が短くなったことで、MRや、現地開催の講演会、製薬企業主催の勉強会・説明会、学会などのリアルな場での情報提供は、これまでより一層時間的制約を受けることになりそうです。

ですが、これらリアルな場での情報取得は他の手段では代替不可であり、限られた時間をそのために確保し可能な限り積極的に情報を得たいと考える医師の姿も見えてきました。今後は、医師のニーズに合わせ情報提供していくことはもちろんですが、情報提供のタイミングや手法についても医師の実情に合わせて変化させていく必要があるでしょう。

後編では、インターネットチャネルでの情報収集および、処方の意思決定に影響するチャネルについてのお話をお届けします。

出典

DM白書2023年冬号
調査期間:2023年10月13日~10月20日
調査方法:インターネット
有効サンプル数:医師5,069名

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