働き方改革による、医師の帰宅後の情報収集時間の変化
「DM白書ラボ」では、DM白書本編には未収載のデータを提供しています。今回は、「医師の働き方改革」に関連して、今後重要性が増すと考えられる「帰宅後の情報収集」についての調査結果をご紹介します。
2024年1月時点で既に労働時間短縮計画が「策定され推進中」または「策定中」の医師を対象に調査を行い、計画推進前後を比較して帰宅後の時間が増えたか、2024年4月以降増えると思うかについて回答結果を集計しました。
目次
前提条件
・HPの医師に限定して集計。※1
・労働時間短縮計画が「策定され推進中」の施設に勤務する医師には、計画推進前後での帰宅後の時間の変化を調査し、「策定中」の施設に勤務する医師には、2024年4月以降の帰宅後の時間の変化の予測を調査。※2
- ※1 設問「先生のご勤務先の施設形態をお教えください。」にて、「大学病院(国公立)」、「大学病院(私立)」、「国立・公立病院」、「一般(民間)病院」のいずれかを回答した医師をHP、「医院・診療所・クリニック」と回答した医師をGPと定義し、HPに絞って集計。
- ※2 設問「2024年4月に開始される医師の時間外労働規制に備えて、先生のご勤務先での医師労働時間短縮計画策定状況をお教えください。」にて「計画策定され推進中」または「計画策定中」と回答した医師を対象とした。「計画策定され推進中」の医師には、設問「2024年4月の「医師の働き方改革」施行以降、先生の帰宅後の時間は増えると思いますか?「医師の働き方改革」に向けた取り組み開始前と比較し、現在の状況をお教えください。」の回答結果を集計。「計画策定中」の医師には、設問「2024年4月の「医師の働き方改革」施行以降、先生の帰宅後の時間は増えると思いますか?「医師の働き方改革」に向けた取り組み開始前と比較した、4月以降の状況の変化について先生の想定をお教えください。」の回答結果を集計。
結果サマリ 労働時間短縮計画が「策定され推進中」の施設に勤務する医師
労働時間短縮計画推進前と比較した、現在の帰宅後の時間
労働時間短縮計画の推進前と比較した現在の帰宅後の時間については、「ほぼ変わっていない」が74.1%と最も多く、「大幅に増えた」または「多少増えた」と回答した医師は合計で23.1%でした。
結果サマリ 労働時間短縮計画が「策定中」の施設に勤務する医師
労働時間短縮計画推進前と比較した、4月以降の帰宅後の時間の予測
労働時間短縮計画策定中の施設に勤務する医師に、4月以降の帰宅後の時間の予測について調査したところ、「ほぼ変わらないと思う」が63.0%と最も多く、「大幅に増えると思う」または「多少増えると思う」と回答した医師は合計で35.2%でした。
結果サマリ チャネル別の情報収集時間の比較
帰宅後の時間が増えた医師の情報収集について明らかにするため、チャネル別の1週間あたりの接触時間※3を用いて、追加の集計を実施しました。「帰宅後の時間が増えた」医師と、「労働時間短縮計画が未着手・対象外」の施設の医師とで、1週間に各チャネルから情報収集する時間を比較しています。※4
- ※3 設問「各媒体から疾患・薬剤情報について、1週間に何時間ぐらい情報提供を受けていますか。平均的な時間をお教えください」における回答の平均を集計。「講演会(インターネット視聴)」、「講演会(現地視聴)」、「製品説明会」、「学会」については、設問「各会合の参加状況についてお教えください」にて「半年間で参加する回数」「1回あたりの参加時間」を回答したものを、週あたりの時間に換算。
- ※4 労働時間短縮計画が「未着手・対象外」の施設に勤務する医師については、「策定され推進中」の施設に勤務する医師と比較するにあたって、勤務施設形態の構成比が「策定され推進中」の母集団と等しくなるように重みづけして集計を実施。
【労働時間短縮計画が未着手・対象外の施設に勤務する医師との比較】
労働時間短縮計画が未着手・対象外の医師と比較すると、すべてのチャネルで1週間あたりの情報収集時間が増えており、1週間の情報収集時間の合計は約2時間半長くなっています。
差が大きいものとしては、学会誌(+約32分)、医療系雑誌・新聞(+約23分)、MRからのメール(+約17分)となっています。
ラボ編集部からのコメント
現状の見通しとしては、働き方改革によって約3割前後の医師において、帰宅後の時間が増えると考えられます。
既に帰宅後の時間が増加した医師については、計画推進前の医師と比較して、週当たりの情報収集時間が2時間半近く伸びており、特に差の大きい学会誌や医療系雑誌・新聞からの情報収集は帰宅後の時間の活用方法ではないかと考えられます。
また、インターネットサイトやインターネット講演会から情報収集する時間については大幅な増加はありませんでしたが、MRとの面談・電話や製品説明会など院内でのみ接触可能なチャネルから情報収集する時間について若干の増加がみられたため、勤務時間内は院内でしか接触できないチャネルを活用し、インターネットチャネルからの情報収集は極力帰宅後に回すといった使い分けが生まれている可能性も考えられます。
ただし、今回集計した各チャネルから情報収集する時間については、院内における情報収集時間の増減と帰宅後の情報収集時間の増減が打ち消しあった結果として、変化が小さく見えている可能性も否定できません。そのような点を踏まえ、今後、医師の情報収集の実態にどのような変化が起きているのか、医師インタビューも含めてより具体的に深堀していきます。
出典
DM白書2024年春号
調査期間:2024年1月16日~1月24日
調査方法:インターネット
有効サンプル数:医師 5,077名
●合わせて読みたい記事
ダウンロード
ご提供するダウンロードファイルは、サイト規約の範囲内でご利用いただけます。
ご提供するダウンロードファイルは、サイト規約の範囲内でご利用いただけます。
本記事のデータを以下の条件などで任意に絞り込み、確認できます。
● 年齢 ● 診療科 ● 診療疾患 ● 施設形態 ● チャネル志向性
※データ分析機能のご利用には、オプション契約が必要です。お問い合わせはこちら
※本記事では、より詳細に確認いただけるデータを提供しています。お手数ですが、PC環境よりご確認ください。
「お気に入りに登録」ボタンをご利用いただくと、本記事をマイページから確認できます。
本記事のデータを以下の条件などで任意に絞り込み、確認できます。
● 年齢 ● 診療科 ● 診療疾患 ● 施設形態 ● チャネル志向性
※データ分析機能のご利用には、オプション契約が必要です。お問い合わせはこちら