【Web講演会 CASE01】視聴意欲が高まるWeb講演会の案内
取材日:2023年3月
内科・循環器内科・消化器内科としてクリニックを開業しているK先生に、Web講演会をどのように活用しているのか、また、MRからの情報提供において期待していることについてお話を伺いました。K先生は、ご自身の専門性の強化と薬剤情報収集を主な目的として、Web/リアル講演会どちらも活用しています。
Web講演会の活用状況
(1) Web/リアルの講演会への参加頻度
製薬企業主催の講演会は、WEB・リアル問わず週1回ほど視聴します。加えて月2回程度地域講演会と、医師会が主催する内科医会の講演会にも参加しています。
Web講演会の場合、重要な部分やスライドだけを見るなど、講演内容を部分的に視聴することがほとんどです。視聴するタイミングは、帰宅前に病院で行うこともあれば、帰宅後に在宅で行うこともあります。ただ、在宅の場合まとまった時間を確保しづらく、終盤のみの視聴しかできないことや、途中まで視聴して内容がおおよそ理解できた段階で途中離脱せざるをえないこともあります。そのため、強く興味を持った講演会は病院で視聴するようにしています。
(2) 講演会の選択基準
視聴したい講演会が同じ時間に重なってしまった場合は、自分の専門により近い方を選ぶようにしています。
とくに、新しい薬剤に関する講演会に参加する機会が大きい割合を占めています。新しい薬剤の場合、発売後数年は処方後の効果が実感できていないことがあります。新しい薬剤を安心して処方するためにも、Web講演会を通じて薬剤の勉強をしておくことが大切だと考えています。
使い慣れている薬剤であっても、ガイドラインの最新情報を入手できるなど、自身の知見をアップデートできる場合には講演会を視聴するようにしています。
(3) Web講演会の欠点
Web講演会はリアル講演会と比較した場合に時間や場所の制約が比較的受けないことが利点と考えています。ですが、質問のタイミングを逃すと発言がしにくく、その場で疑問を解消するのが難しい点、また、直接演者への質問ができない点が欠点です。
リアルの講演会であれば、実際にその薬剤を処方している先生の意見を直接聞くことができますし、その場で質問ができるためWeb講演会で感じるようなもどかしさは感じません。
Web講演会に関連してMRに期待していること
(1) 視聴意欲を高めるWeb講演会の案内方法
MRとの面談のうち、面談内容がWeb講演会の案内だけだったケースは、全体の7割程度の印象です。MRからは、「本社から課せられているノルマがある」と聞いていますが、Web講演会の案内はMRの主要な役割ではないはずです。
Web講演会を案内するだけではなく、プラスアルファの価値を提示することが重要だと思います。
MRには、薬剤の適用や作用機序だけでなく、患者にとってのメリットと、明確な理由の説明を期待しています。そのうえで個別にヒアリングをし、要望に合わせた情報提供を行えるMRとは、面談をする意義があると感じます。
MRからの情報提供により興味を持った薬剤について、さらに詳細な情報を確認できるWeb講演会を案内される場合は視聴意欲が高まります。
また、あるMRは、事前にわたしからヒアリングした内容を講演会の登壇者に伝え、当日の講演の中で話題に出す、という手配をしてくれるため、講演会の開催概要のみを案内される場合より視聴意欲が高くなります。
(2) MRに期待するWeb講演後のフォロー
熱心にWeb講演会の開催案内をしてくるMRは非常に多いものの、講演後に視聴有無を聞かれることはほとんどありません。
Web講演会前の案内だけに焦点を当てるのではなく、講演後のフォローまで行う姿勢をMRが示すことで、医師がWeb講演会を視聴する可能性は上がると思います。
また、講演会中の質問に対する演者の回答は短く、疑問が解消しないこともあるため、Web講演会後に演者のコメントを聞き取って共有してもらえると、ありがたいと感じます。講演会中にわたしが質問した内容について、後日MRから関連資料の案内があり、とても助かった経験があります。また、講演の内容を裏付けるデータを届けてくれることも、医師としては大変助かります。
Web講演会を価値あるものにするためにも、医師のニーズを踏まえて講演会を案内すると同時に事前のヒアリングや、講演会後のフォローを含めてサポートしていくと良いのではないでしょうか。