【リモート面談 CASE01】担当MR、専任MRとの理想的なリモート面談
取材日:2023年3月
国公立病院で腫瘍内科にご勤務されているO先生に、リモート形式での面談についてのお考え、理想とする形についてインタビューを行いました。O先生自身はリモート形式を中心に情報入手しており、MRだけではなくメディカル担当や薬剤専任MR等とのリモート面談において感じていること、今後期待したいことをお伺いしました。
担当MRとのリモート面談状況
(1) MRとの面談状況
現在は週に1回程度面談機会をもっています。5社5名程度のMRと定期的に面談しており、2~3か月に1回の頻度で各社MRと面談しています。勤務先の病院に対面面談の規制はありませんが、私からはMRへリモートでの面談をお願いしています。面談はすべてリモート面談にしたいと思っています。
リモート面談を希望する理由は、訪問いただいたときに生じていたMR側の待ち時間が発生しないからです。いつもMRを待たせてしまい申し訳ないと思っていましたので…。
一方で同僚は対面での面談が増えている印象です。18時頃になると医局前にMRが並んでいて、コロナ前の状況に戻ってきていると感じます。
製薬会社側から、どうしても対面での面談がしたいと依頼され対面で面談することもあります。たいてい記録に残したくない事を話したい場合が多いですね。
(2) リモート面談設定のきっかけ
リモート面談の8割はMRからの打診がきっかけです。薬剤情報を得るために自分から問合せをしてリモート面談を実施してもらうこともあります。こちらからの依頼に対してはレスポンス早く対応してもらえているので非常に助かっています。
接点がない製薬会社の薬剤情報を得るためインターネット経由でリモート面談の申込みをしようとしたことがありますが、入力項目が多すぎて途中で諦めたことがあります。
(3) リモート面談をきっかけとした処方影響
処方経験のない薬剤について、リモート面談を通じて新しい臨床データや薬剤の使用方法を説明してもらったことをきっかけに、その薬剤に興味が沸き、処方検討まで進んだことがあります。
リモート面談での説明が上手なMRは対面の面談でも同じく説明が上手ですね。企業側でのトレーニングがしっかりしているのだと好印象を持ちます。
担当MRとのリモート面談の不満な点
(1) 数分で終わってしまうリモート面談
立ち話で済むような、数分で終わるリモート面談があります。例えば、内容がWeb講演会の案内だけだったりする場合です。Web講演会の案内のみであればメールで十分ですね。
対面面談の場合は、勤務中の面談であっても面談終了後すぐに席に戻ればいいだけなので、短時間の面談でも気になりません。しかし、リモート面談の場合は、面談しやすい場所までパソコンを運び、スピーカーをセットするなど、面談の前と後の対応に手間がかかります。そのため、数分で終わってしまう面談は、MRに対して良くない印象を持ってしまうことが正直あります。
メールで済ますことができる用件とリモート面談で説明する必要がある用件は、線引きしてもらえるといいのかもしれないですね。
(2) 1対Nでのリモート面談
1対1のリモート面談だと思っていたのに1対Nでの面談だった、というケースがあります。特に、1つの薬剤を2社で担当されている場合に参加者が増える傾向にあるように感じます。
1対5で開催されることもありました。5名の参加者それぞれが説明されていて、1つ1つの内容が短く印象に残りにくかったです。また、興味をもった点について深い話ができないため、あまり有益だとは感じませんでした。1人の方にすべてを説明してもらったほうが、話しやすいですね。
MRそれぞれのノルマを達成するために、1名だと数分で終わってしまう内容を5名分合わせて面談時間を30分持たせているのかもしれませんが。
(3) リモート面談時のPC操作
パソコンの画面を共有された際に、画面上に業務に関係ない情報(プライベートの写真やゲーム画面など)が表示されたり、面談中に内容と関係なく通知音(メールやチャット等)が聞こえてしまうと、面談内容に集中しづらくなるときがあります。また、特定の企業で回線がよく切れてしまうことがあります。
企業内でトレーニングや環境整備してもらえればと思います。
(4) 他施設での状況把握
これまで、MRとの対面面談では他の施設の状況を気軽に確認できていました。ですが、最近は少なくなっている気がします。今は同僚や近隣施設にお勤めの先生からの噂話で補完しています。
理想的な担当MRとのリモート面談
対面面談でできていたことの再現性が高ければ高いほど、リモート面談に求める理想像に近くなります。
対面面談では、MRが会話の流れに合わせて、各話題に関する資料を適宜提示してくれていました。リモート面談では、1つしかないパソコン画面を通じて情報を受け取ることになるため、事前準備の有り無しが面談内容に大きく影響していると感じます。準備不足のMRからは、対面面談のような情報提供をしてもらえていないのが実情です。
対面のときと同様に、会話の流れに応じて適切な情報提供をスムーズにしてもらえることが、理想的なリモート面談だと思います。
担当MR以外とのリモート面談状況
(1) 面談状況
担当MR以外では、3社と月1~2回面談しています。主に、メディカル担当、薬剤専任MR、KOL担当MRの方々です。
メディカル担当のお話は勉強になることが多いため、定期的に面談機会を持つようにしています。薬剤専任MRはふだん接点があるMRより薬剤の情報に詳しく、説明も上手な印象です。自身の興味がある薬剤に薬剤専任MRがいないので残念です。KOL担当MRは、私達医師の意見や処方状況等を収集することが目的なのだと思います。
(2) 面談状況
専任MR、メディカル担当ともに昔からお付き合いがある方です。
メディカル担当との面談では、リモートを指定されるケースが多いです。論文情報は資料をパソコンで表示してもらう事で理解が深まります。論文情報は資材として手元に残すことができないため、リモート向きの情報ではないでしょうか。移動時間が不要なリモート面談になったためか、面談頻度は以前よりも増えました。
専任MRは担当MRより薬剤に詳しいため、担当MRからの説明では気づかなかった示唆があり、処方意向が変わったこともあります。
担当MRに質問した内容について、担当MRから専任MRへ確認が必要なケースも多いため、最初から担当MRと専任MR両者と同じタイミングで面談できるとありがたいです。
理想的な専任MRの在り方
他施設の情報に詳しいとありがたいです。近隣施設の情報については、担当MRから話を聞く機会は減っていますが、噂話等である程度補完できています。
一方、全国施設の情報は入手が難しく、幅広い地域を担当している専任MRから、全国の情報、特に著名な施設の情報を提供してもらえると非常にありがたいです。
また、専任MRには薬剤に特化した知識を期待しています。同じ薬剤でもがん種ごとに担当MRが異なるため、がん種が異なると即答してもらえないことがあります。
医師は領域に特化して日々専門知識の習得や自己研鑽を行っています。同じ医療に関わる立場として、専任MRには薬剤に特化して専門性を高めてほしいです。がん種問わずに薬剤について回答してもらえると理想的ですし、薬剤についての高い専門性こそが製薬会社ならではの強みではないでしょうか。