面談前のメールで医師の情報ニーズを把握する具体例
製薬企業のマーケティング担当者の皆様へ、MRが医師との面談前にメールで情報提供を行う重要性とそのメリットについて、実際の事例を交えてご紹介いたします。
DM白書ラボでは、医師へのアンケート調査やインタビューを通じて、MRと医師とのコミュニケーションを円滑にするための方法についての知見を得てきました。
「MRとの面談前に何らかの情報を得たい」医師は5割以上、面談前に得たい内容としては「面談内容のサマリー情報」が6割以上選択されている※1ことが明らかになっています。
一方で、製薬企業の担当者からは、MRによるメール活用が未だに活性化しないという声も伺っています。本記事では、MRにとっての具体的なメリットを示します。今後の活用促進につながることを願っています。
医師とのコミュニケーションの起点としてのメール活用方法
MCI DIGITALでは、MRから医師への1to1メールの活用促進を目的としたサポートを行っています。その一環として、クライアント企業のMRへ個別インタビューを実施し、効果的な活用事例をまとめています。この取り組みから見えてきたのは、高い活用度を誇るMRが「医師とのコミュニケーションの起点」としてメールの送付を位置付けている点です。
面談時における具体的なメール活用方法は以下です。
(1) 面談日近くに製品関連情報をメールで送付する
(2) 面談時にはメールで送った内容を会話のきっかけとして使う
(3) メールで送った内容を閲覧いただいていれば、その内容に関する感想を伺う
(4) メールで送った内容を閲覧いただいていなければ、どういう内容かをお伝えする
(5) 先生との会話の中で、先生が今欲しい情報をヒアリングする
(6) その場で提供できる情報があれば伝える
(7) (6)がなければ、別日の面談アポイントを設定する
このように、メール送付を起点とした医師とのコミュニケーションの繰り返しが、MRが医師の情報ニーズを理解する手助けとなり、送付するコンテンツの選択精度を高める結果につながります。
面談時のディスカッションをスムーズに
医師に対するインタビューでも、「MRとの面談後や面談前に、その面談を補完する情報として、関連するコンテンツをメールで案内してもらえると、非常に有益だと思います。面談前なら面談時に聞きたいポイントが明確になりますし、面談後ならより深い理解につながります。」※2というご意見がありました。
MRの日々の活動においても、MRからのメールを介した情報提供が、面談の機会や時間が限られている中で医師とのディスカッションをスムーズに進行させる上で重要な影響を持つことが確認されています。
医師の関心テーマをメールで探る
また、MR向けのインタビューでは「メールで情報提供を行う場合、面談日直前に限らず、面談と面談の合間が約数週間空く場合には、週1回程度の頻度で複数のコンテンツやWeb講演会情報を案内しておくことで、面談の際に医師が関心の高いテーマを探りやすくする」といった意見もありました。
メールを活用するMRは「1回の面談機会の中では複数のテーマを話題にしづらく、1つ目に設定したテーマで医師の関心を外した場合に次のテーマを出しづらい状況になるが、メールであれば医師の開封やクリック実績を確認しながら事前に関心テーマを探り、面談時に関心テーマを外すリスクを減らせる」といったメリットを挙げています。
一方でメールの開封についての医師インタビューでは、「『Web講演会のご案内です』といった不特定多数を対象としていると思われる件名の場合、興味が湧かないものは開封せずに削除することもあります。」※3といった声も聞かれました。医師とのコミュニケーションツールとしてメールを活用するためには、送付側が医師の情報ニーズを理解した上で行う必要があります。
まとめ
今回は、MCI DIGITALがこれまでに行ったMRへのインタビューを通じて把握した「医師面談前にメールで情報提供を行うことによるMR自身のメリット」についてご紹介しました。
メールを活用した医師とのコミュニケーションにおける成功体験は、各社でメール活用度の高いMRの中に多く存在すると考えららえます。1to1メールの活用促進策として、自社内でメール活用度の高いMRへの成功事例インタビューなどを実施し、参考とされてみてはいかがでしょうか。
(文:岩井)
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