【MRからのメール CASE02】MRとの面談前後に期待するメール案内とは
取材日:2023年4月
大学病院の呼吸器内科にご勤務され肺がんの専門医であるY先生に、MRとやり取りしているメールに添付されるコンテンツがどのような内容であれば有益だと感じるか、どのような場合に紙媒体での案内が適していると感じるか、メールでのコミュニケーションへ期待する点を伺いました。
目次
MRとのメール頻度
現在は10社ほどのMRと面談をしており、そのうち7~8社のMRとはメールでもやり取りをしています。MRからのメールは、1週間に1~2回程度でしょうか。
喘息やがんなど、処方頻度の高い薬剤の担当MRとは頻繁に連絡を取りますが、処方頻度が低い薬剤の場合は連絡頻度も下がり、必要なときだけ自分からMRへ連絡します。
メールチェックのタイミング
MRからのメールはすべて開封して本文まで読み、アポイントメントに関するメールには返信します。
メールをチェックするタイミングによって利用するデバイスは異なり、通勤中(電車通勤)の場合はスマートフォンから、診療の合間の場合はパソコンからチェックしています。
メールの内容(コンテンツ)
メールの内容は、面談のアポイント以外ほとんどがコンテンツ付きのメールです。MRからのメール内容は、新薬発売や薬剤の適応拡大の案内はもちろんですが、Web講演会の案内が最も多いと感じます。
頻繁に面談するMRは、わたしの専門領域に合わせた案内を提供してくるように感じます。しかし、多くのMRからのメールは、担当する医師全員に同一内容の定型メールを送っているという印象を受けます。
有益だと思えるコンテンツ付きメールとは
コンテンツ案内のうち、有益だと感じているのは約半分です。特に、抗がん剤を処方する際には特段の配慮が求められますし、患者さんへ慎重に説明する必要があります。抗がん剤処方時には、薬剤を販売する製薬会社からの情報が役立つと感じています。また、高額な薬剤を処方するときの患者さんへの社会保障制度の説明方法なども有益です。
実際、メールで紹介された最新の抗がん剤の有害事象を逆引きできるコンテンツは、試しに使用してみたところ非常にわかりやすく、印象に残っています。
紙媒体で受領したいコンテンツ
メールの場合は、記載されているURLからすぐに該当のコンテンツへ遷移できる点が便利です。
一方、患者さん向けのパンフレットなどの紙媒体は、PDFだけではわかりづらいこともあるため、紙で受領したいと思っています。メール案内の後に紙媒体のサンプル提供があると、より資材を手に取りやすくなるのではないかと思います。
実際に、MRからメールで送付された患者さん向けパンフレットを確認し、紙媒体の送付をメールで依頼したことがあります。案内メールに「実物が必要でしたら、お気軽にお申し付けください」といった一言があると、コンテンツの閲覧確率が上がるのではないでしょうか。
メールで案内されたWeb講演会の視聴状況・不便な点
メールで案内されるWeb講演会のうち、視聴するのは2~3割程度です。自分の専門領域により近いテーマや、興味を持っているテーマ、実際によく処方する薬剤に関する講演会を選んで視聴します。
メールで案内されたものは記憶に残りづらいため、紙のチラシで案内してもらえたほうが忘れずに講演会を視聴できます。紙なら、自分の目に入る場所に貼っておくなど忘れないための工夫ができますが、メールの場合はよほど自分自身が興味のあるテーマでない限りは、メールを一読したあと忘れてしまいがちです。
MRからのコンテンツ付きメールに期待すること
MRとの面談後や面談前に、その面談を補完する情報として、関連するコンテンツをメールで案内してもらえると、非常に有益だと思います。面談前なら面談時に聞きたいポイントが明確になりますし、面談後ならより深い理解につながります。
MRが面談アポイントを取得する際は、関連する資料や臨床試験の結果なども併せてメールで送付しておくことで、医師も面談に向けて意欲が高まるはずです。
ただし、定型文を利用した機械的なメール文章では、閲覧してもらえない可能性が高いため、メールの案内文は医師の興味を引くようなひと工夫があるとよいのではないでしょうか。