【MRからのメール CASE01】MRからのメール配信タイミングに期待すること
大学病院の総合診療科にご勤務されているO先生に、MRとのメールコミュニケーションについてお話を伺いました。医師へのコンテンツ付きメールを送るべき理想的なタイミング、時間帯、そして内容はどのようなものなのでしょうか。
MRとのメール頻度
(1) 頻度と返信
現在はメールでMRとやりとりしている会社は約10社、そのうち定期的なやり取りのある会社はおよそ半数の5社程度です。
わたしの場合、MRからWeb講演会の講演依頼や市販後調査への協力といった仕事の依頼のメールが送られてきます。そういったやりとりがある場合は添えられているプロモーション案内へのお返事もしていますが、Web講演会や薬剤の案内などプロモーションのみのメールの場合はお返事しないことがほとんどです。
(2) LINEの活用状況
MRからLINEでの連絡を提案されたこともありますがお断りしています。Eメールは仕事、LINEはプライベート、と区別して利用しています。
(3) MRからのメールをチェックするタイミング
業務用のパソコンを自宅に持ち帰っていないため、メールは主に勤務先のパソコンでチェックしています。チェックのタイミングは出勤後の朝8時前後、昼休憩時の12時ごろ、診療時間が終了した夕方16時~17時ごろ、の3回です。また、帰宅中の電車内でスマートフォンからチェックすることもあります。
メールの開封状況
件名によっては開封しないままのメールもあります。開封するものは、差出人と件名で先述した仕事関連の内容だと分かるメールです。
最近は件名にMRの名前と要件が併記されているメールも増えました。件名にMRの名前が入っていると開封して中身を確認しようかな、という気持ちになります。やり取りの無いMRでも、名前が記載されていると「申し訳ないな」という気持ちからメールを削除しづらいと感じます。
忙しいからといってあまりMRに対して失礼なことはできませんので、件名からメールを送ってくれた方の顔がイメージできると、2件3件とメールが送られてくるうちに「たまには開封してみようか」、4件5件と続くと「たまには動画を見てみようか」という気持ちになり、動画を視聴することもあります。
一方、「Web講演会のご案内です」といった不特定多数を対象としていると思われる件名の場合、興味が湧かないものは開封せずに削除することもあります。
コンテンツ付きのメールが送られてくるタイミング
薬剤の詳細な情報へのURLやバナーが記載されたメール(コンテンツ付きメール)は、主に面談後とWeb講演会視聴後に増えます。
面談後やWeb講演会視聴後は、該当の薬剤への関心が高まっていますので、メールを開封してコンテンツを閲覧する確率も比較的高くなります。
有益と思えるコンテンツ付きメール
製薬会社の会員制サイトから送付されてくるメールマガジンの情報の中には有益なものもあるかもしれませんが、詳しく確認する時間がなかなかとれません。
一方で、MRから個別に案内されるコンテンツのおよそ半数は有益だと感じています。どのコンテンツも、「見て損した!」と失望するようなものではありません。わたしの専門領域に関連したコンテンツを紹介してくれますし、既知の情報だったとしても知識の再確認ができ有益です。
最近有益だと感じたのは、ある新薬についての情報提供です。
その薬剤は周囲に処方経験のある医師がおらず困っていたのですが、MRとの面談時に「随時講演会の情報をご案内しますね」と言われ、実際そのあと該当薬剤についてエキスパートが解説するWeb講演会の案内が送られてきました。MRとの面談、面談内容、そして面談後のWeb講演会案内がわたしの「知りたい」と感じたタイミングと合致し、スムーズに情報を得ることができ、印象に残っています。
MRからのコンテンツ付きメールに期待すること
(1) 案内のタイミング
MRとの面談後、薬剤への関心が高まっているタイミングで、より詳細な情報の案内があると効果的ではないでしょうか。
先にお話ししたケースでは、MRとの面談をきっかけに「案内された薬剤の勉強をしておきたい」と感じ、そのタイミングでエキスパートが登壇するWeb講演会の案内が届き、実際に視聴しました。MRとの面談前にWeb講演会の案内を受領しても、興味がわかずメールの開封すらしないままだったと思います。
MRとの面談で薬剤についてある程度理解し、処方や症例などの具体的なケースについての疑問が沸いた段階でより詳しい情報の案内があると、非常に助かります。
(2) メール送付の時間帯
メールは夕方送付してもらえると、目を通しやすいと感じます。
わたしの場合、午前中にメールを見た際に「気になるな」と感じても時間の都合上すぐに詳細を確認できません。あとで確認しようと思っても、メールはどんどん溜まっていき、夕方になると朝のメールは埋もれてしまっています。
通勤中の電車移動中にスマートフォンで動画を視聴することが多いのですが、夕方に届くメールは目に留まりやすく「ちょっと見てみようかな」という気持ちになりやすい時間帯です。
(3) コンテンツ付きメールに求める情報
製薬会社からは、エキスパートからの実臨床の現場で役立つ情報を受け取りたいと考えています。
ガイドライン解説などの教科書的な入門編を扱う内容は以前見ていたこともあるのですが、やはり最新の情報や具体的な症例についてのお話を専門家の方から伺いたいので、そういった情報をほかのメールに埋もれない形で伝えて欲しいと思っています。製薬会社の方もさまざまな工夫をされているのかなと思いますが、どうしてもメールが多く見逃してしまっている情報もあるかと思っています。