マーケティングオートメーション - 「インターネット講演会」後のフォローメール編 -
前回の「マーケティングオートメーション
―「インターネット講演会」リマインドメール編」では、リマインドメールはテキスト中心のシンプルな構成で十分であり、医師の視聴意向に合わせた自動配信型メールの運用は、MAツールと非常に相性の良いテーマであることをご紹介しました。
「インターネット講演会」は開催したら終わりではありません。予約・視聴ユーザーの興味関心度は高いと考えられるので、間を空けずにフォローメールを送ることが重要です。DM白書ラボの調査では、医師のほぼ半数が、インターネット講演会視聴後のタイミングで、製薬企業に何らかの対応を期待している※1、ということも明らかになっています。
そこで本記事では、マーケティングオートメーションプラットフォーム「Adobe Marketo Engage」(以下、Marketo)を活用した「インターネット講演会」の開催後のフォローメールについてご紹介します。
Marketoでの「インターネット講演会」視聴データの扱い方
製薬企業によって視聴データの扱いは異なりますが、Marketoでの管理方法は大きく分けて4通りです。以下にそれぞれの概要とメリット、デメリットを紹介します。いずれも一長一短ですが、「インターネット講演会」視聴ページの設置場所、どこまで視聴データを細かく活用していくかを検討したうえでチョイスしましょう。
「インターネット講演会」視聴ページが製薬オウンドサイト内にある場合
(1) アクセスログ・クリックログを活用する
「インターネット講演会」視聴ページのアクセスログをトリガーとしてフォローメールを配信します。「インターネット講演会」視聴ページが同じURLの場合はクリックログを活用します。
【メリット】リアルタイムでアクセスログが取得可能である。
【デメリット】何分視聴したかなどの視聴データが取れないため、あくまでも「視聴したとみなす」という形になってしまう。
(2) Marketo連携を活用する
製薬オウンドサイトに「インターネット講演会」視聴ページがある場合、Marketo連携用のタグやAPIが提供されている場合があります。Marketoのアクティビティログ、もしくはカスタムアクティビティログに視聴データが蓄積されます。
【メリット】リアルタイムで視聴データが取得可能であり、より複雑な条件でフォローメールを配信することができる。
【デメリット】アクティビティログの場合、断片的なログが複数残ってしまう。カスタムアクティビティログの場合はローデータのような複雑な形で蓄積されるため、データの選別が難しくなる場合がある。また配信企業によってはMarketo連携が提供されていない場合がある。
「インターネット講演会」視聴ページが外部にある場合
(3) アクセスログ・クリックログを活用する
「インターネット講演会」視聴ページが外部にあるため、該当ページのアクセスログを取ることはできません。
代わりに製薬オウンドサイト側の「インターネット講演会」詳細ページ、もしくは視聴ボタンをトリガーとしてフォローメールを配信します。
【メリット】リアルタイムでログ取得可能である。
【デメリット】何分視聴したかなどの詳細データが取れないため、「視聴したとみなす」という形になってしまう。
(4) 配信会社から提供された視聴ログデータの取り込む(リスト化)
「インターネット講演会」視聴ページが外部にあるため、後日提供された視聴ログから配信先リストを作成しフォローメールを配信します。
【メリット】詳細な視聴データが得られる。
【デメリット】リアルタイムではないため、即時フォローメールを送ることができない。また、メーリングリストのような形になるため、Marketoでの活用度合いは低くなる
フォローメールのコンテンツ
MCI
DIGITALが提供する「DM白書」では「インターネット講演会」に関する調査を行っています。「同じ講演内容を再度視聴したいと思うことがある」と思う医師は68%近くいることが分かっています※2。このことから視聴有無に関わらずアーカイブ配信へのリンクは記載したほうが良いでしょう。
また視聴中/視聴後に利用したいサービスとしては「講演サマリの配布」や「MRへの問い合わせ」などが挙げられていることも分かっています※3。
これらのコンテンツに加えて、「インターネット講演会」後に製薬企業ウェブサイトで探したことがある情報は下記のとおりです※4。「インターネット講演会」に関係する薬剤関連のコンテンツを掲載することで、医師の満足度向上が期待できます。
その他にMCI DIGITALの知見として、次回の「インターネット講演会」の情報や関連する過去のアーカイブ配信へのリンクといったコンテンツの反応率が高いことが分かっています。
- ※2 「医師版マルチメディア白書2022年秋号」インターネット講演会 困っている事/不便だと感じている事
- ※3 「医師版マルチメディア白書2022年秋号」インターネット講演会 視聴中/視聴後に利用したいサービス
- ※4 「医師版マルチメディア白書2021年秋号」インターネット講演会後に製薬企業ウェブサイトで探した情報
フォローメールの配信タイミング
フォローメールは即配信すれば良いというわけではありません。メールのコンテンツに応じて適切な配信タイミングが存在します。
(1) 「インターネット講演会」後、3営業日以内
「インターネット講演会」を視聴したユーザーは、興味関心度が高い状態と考えられます。掲載するコンテンツは関連する薬剤コンテンツや「MRへの問い合わせ」が適しているでしょう。また、次回の「インターネット講演会」の案内も効果的です。
一方で「インターネット講演会」の内容は記憶に残っている状態のため、「講演会サマリ」を配信したとしてもクリック数はそこまで多くはありません。
(2) 「インターネット講演会」後、2~3週間後
このタイミングでは弊社の過去経験上、この頃から「インターネット講演会」の内容が薄れてきているためか、「講演会サマリ」を配信することでクリック数が増加傾向となります。「同じ講演内容を再度視聴したいと思うことがある」と思う医師が68%いることから、アーカイブ配信と合わせて掲載するとより効果が見込めるでしょう。
フォローメールの反応率
では実際にフォローメールの反応率はどの程度見込めるのか、弊社の過去実績値をご紹介します。
フォローメールの開封率
「インターネット講演会」後、1~3営業日後と約3週間後にフォローメールを配信した場合でも、開封率は約40%程度でした。開封率については、件名・配信先の条件をより正確にするといった工夫次第で、より高い数値が期待できます。
フォローメールの開封対クリック率
参考までに、一部のコンテンツの開封対クリック率の目安をご紹介します。なお特設ページはアーカイブ配信を含むものとなります。紹介文やバナーなどの工夫を凝らすことで、より高い数値が期待できます。
コンテンツ | 開封対クリック率の目安 |
---|---|
特設ページ | 約10% |
次回の「インターネット講演会」の案内 | 約15% |
事前アンケートの回答結果 | 約24% |
講演会サマリ |
約6.7% ※3営業日以内に配信した場合 約12% ※2~3週間後に配信した場合 |
まとめ
本記事で紹介したフォローメールに掲載するコンテンツのほとんどがAPIを用いることでメールに反映することができるので、フォローメールは自動生成・自動配信することが可能ですが、メールテンプレートを用いることで手動運用だとしても少ない工数で実現は可能です。
「インターネット講演会」に関するメール配信はマーケティングオートメーションに取り組みやすいテーマの1つです。リマインドメールとフォローメールの対応を行うことで、「インターネット講演会」のメール配信に関するマーケティングオートメーションは最大化されますので、ぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。
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