マーケティングオートメーション ―「インターネット講演会」リマインドメール編
オウンドサイト上で開催されるインターネット講演会を、プロモーションの大きな軸としている製薬企業も多いのではないでしょうか。各社で数多く開催されているインターネット講演会ですが、一方で「視聴忘れ」による視聴機会の喪失を残念に感じている医師は約80%※1となっています。
本記事では、マーケティングオートメーションツールを活用し、医師の視聴意向に合わせたリマインドメール配信を行う方法についてご紹介します。
目次
医師の約80%が「視聴したいと思っていたインターネット講演会を、忘れて視聴できないことがある」ことを不便だと感じている
MCI DIGITALが提供する「DM白書」によると、医師の80%以上が薬剤・疾患関連情報取得の効率化のために使用するチャネルとして「インターネット講演会」の利用意向を示しています※2。また「インターネット講演会」は「処方行動に変化をもたらした情報源」として、「MR」と並んで最も高い割合を占めています※3。
一方で、「視聴したいと思っていた講演会を忘れて視聴できないことがある」と困っている/不便に感じている医師も80%近くいることが分かっています※1。
製薬企業の医師向けオウンドサイト上でも、会員医師に向けた告知は行うものの、コストの問題や、会員医師からの心証を考慮して、実際に興味を示した医師に対して、医療系サードパーティほどのリマインドメールによるフォローは行えていないという会社は少なくないようです。
*ある医療系サードパーティからは、インターネット講演会開催当日には、朝一番と開催時間2時間ほど前の2回のリマインドメールを配信して、視聴医師の最大化に取り組んでいると伺っています。
※1「医師版マルチメディア白書2022年秋号」インターネット講演会 困っている事/不便だと感じている事 ※2 「医師版マルチメディア白書2022年冬号」疾患・薬剤情報取得の効率化のための情報源利用意向 ※3 「医師版マルチメディア白書2023年春号」処方行動が変化した薬剤の情報入手先(情報源)PI集計
インターネット講演会のリマインドメールで活用できるマーケティングオートメーションツール
われわれは、オウンドサイト上で開催されるインターネット講演会に対する効果的・効率的なリマインドメールの実現には、マーケティングオートメーションツール(MAツール)の活用が最適だと考えます。
これまでの弊社のオウンド運営支援経験からも、インターネット講演会開催当日に配信されるリマインドメールについては、クリエイティブのリッチさはあまり効果に関係しないことが分かっています。
講演会の数週間前から配信されるメールマガジンや、MRからの1to1メールでは、講演会の内容を魅力的に紹介するクリエイティブの重要性は言うまでもありません。
ですが、既に講演会の告知を行った後のリマインドメールは、メールのタイトルが医師の目に入った時点で、文字通り本日開催されるWeb講演会への”リマインド”効果を発揮できます。リマインドメールは、テキスト中心のシンプルな構成で十分です。
リマインドメールは、「視聴したいと思っていた講演会を忘れて視聴できないことがある」ユーザーにとっては高い評価に繋がります。
医師の視聴意向に合わせた自動配信型メールの運用は、MAツールと非常に相性の良いテーマです。
昨今、弊社のクライアント企業においてもMAツールとしてMarketoを採用される製薬企業も増えてきています。本記事ではMarketoを活用した「インターネット講演会」リマインドメール自動化手法についてご紹介します。
Marketo活用例(1) リマインドメール希望ボタンを設置
インターネット講演会案内ページ内に、『リマインドメールを希望する』ボタンを配置し、会員医師がログイン状態でそのボタンを押下すると、Marketo側にユーザー情報が連携され、希望したユーザーのみへMarketoからリマインドメールを自動送信することができます。
この場合、会員医師がリマインドを希望している状態でのメール配信なので、開催日当日の朝、開催1~2時間前、と、1日に2回のメール配信を行っても、医師に心証を害されるリスクは少ないでしょう。リマインドメール希望者に対する自動配信メールの開封率は非常に高く80%前後以上が見込まれ、実際の講演会視聴率も50%超となります。
ただ、「リマインドメールを希望する」というボタンを押下していただける会員医師に限定したアクティビティとなり、アクティビティの規模感という面では小規模な取り組みとなります。
Marketo活用例(2) 案内ページ閲覧履歴と連携
インターネット講演会の案内ページを閲覧した会員医師の情報をMarketoと連携し、ページ閲覧者へのリマインドメール送信を自動化することが可能です。
これは、オウンドサイト内で、インターネット講演会ごとの個別の案内ページを開設していること、医師がログイン状態で案内ページを閲覧することが前提となります。この方法の場合、開催日当日のリマインドメール配信直前まで、医師の閲覧情報を収集し、Marketoと連携することが可能です。
案内ページへのMarketoタグの実装のみで、Marketo管理画面からメール設定が可能です。
ページにリマインドメール希望ボタンを設置する活用例(1)とは異なり、会員医師にリマインドメールの希望確認を取っていないため、メールの配信回数は開催日当日に1回のみとし、開催1~2時間前の配信のみの運用とした方が無難ですが、会員全体に向けたリマインドメールと比べて、開封率、講演会視聴率共に高い数値で運用が可能です。該当のインターネット講演会に興味を示していなかった会員医師へのメール配信は行いませんので、メール配信過多を原因とするオプトアウト数の増加リスクも軽減できます。
MAツールの活用は、医師の“残念な体験”を防ぎ、オウンドサイトの利用満足度向上にもつながる
「視聴したいと思っていた講演会を忘れて視聴できないことがある」と答えた医師が約8割いることから分かる通り、「インターネット講演会」の参加率は伸び代があります。MAツールを用いたリマインドメールの効果的・効率的な運用は、「インターネット講演会」の視聴者数増加の実現と同時に、“興味のある講演会を視聴できなかった”という医師の“残念な体験”を防ぎ、オウンドサイトの利用満足度向上へ寄与することへもつながります。
MAツールを採用したもののメルマガ配信から先の活用に進めていない場合は、まず手始めにインターネット講演会リマインドメールの自動化を検討してみてはいかがでしょうか。
※1「医師版マルチメディア白書2022年秋号」インターネット講演会困っている事/不便だと感じている事 ※2 「医師版マルチメディア白書2022年冬号」疾患・薬剤情報取得の効率化のための情報源利用意向 ※3 「医師版マルチメディア白書2023年春号」処方行動が変化した薬剤の情報入手先(情報源)PI集計