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記事情報
医師が製薬企業オウンドサイトに求めるコンテンツとは?デジタル時代の情報提供戦略【DLあり】
製薬企業オウンドサイトに、医師はどのようなコンテンツを求めているのでしょうか。医師2,066名を対象とした調査から、「治療ガイドラインの解説」が53.4%と最も高く、次いで「疾患に関連する論文・論文解説」「新薬の開発背景」が上位を占めました。年齢層や施設形態によってニーズに違いが見られることも明らかになっています。
本調査結果から、製薬企業が取るべきコンテンツ戦略を考察します。
※本記事内の図表のダウンロードおよび、医師の施設形態、診療科などでデータ分析可能な「データ分析機能」が利用できます。
調査の背景と目的:製薬企業オウンドサイトのコンテンツ戦略が問われる時代
オムニチャネル推進において製薬企業オウンドサイトの重要性はますます高まっています。
本調査では、医師2,066名を対象に「製薬企業が運営する医療従事者向けWebサイトで掲載されていれば活用したい」と思うコンテンツについて調査を実施しました。
目次
調査概要と集計方法
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● 設問
製薬企業が運営する医療従事者向けWebサイトで「掲載されていれば活用したい」と思う情報を、以下からすべてお選びください。
・ 新薬の開発背景
・ 自社で開発中の新薬や新規適応症のパイプライン情報(開発段階、対象疾患、今後の承認予定時期などの詳細)
・ 論文化されていない自社製品に関連する最新の研究結果や臨床試験データの解説(オンラベル)
・ 論文化されていない自社製品に関連する最新の研究結果や臨床試験データの解説(オフラベル) ※情報提供には制限があります
・ 自社製品に関連する論文・論文解説
・ 疾患に関連する論文・論文解説
・ 治療ガイドラインの解説
・ 症例スタディ(症例報告や治療例・副作用対応例の紹介)
・ 医薬品の基本情報(効能・効果/用法・用量など)
・ 医薬品の使用方法に関するFAQ
・ 医薬品の副作用情報に関するFAQ(自社医薬品の安全性に関する最新の市販後副作用報告とその対応策)
・ RWDの解析結果
・ RWDの支援手続きや、データの出し方・活用ノウハウ(臨床研究・医学系指針に関する解説を含む)
・ RWD研究におけるデータベースの選び方や比較ポイントの解説
・ RWD/RWEデータの解析手法や解析結果の解釈に関する解説
・ 講演や医局・院内勉強会で使える疾患に関するスライドデッキ
・ 学会協賛セミナー(ランチョンセミナーなど)の動画配信
・ 市販後臨床研究の実施状況および主要な結果一覧
・ この中にはない
● 集計条件
‐MCI調査パネルの会員登録情報にて「勤務先施設形態」が「大学病院」「国公立病院」「その他の病院(国公立以外の病院)」「医院・診療所・クリニック」を対象とし、「勤務先施設形態」が「介護老人福祉施設・介護老人保健施設」「その他」は除外。
‐MCI調査パネルの会員登録情報にて「生年月」に記載がない医師を「年齢不明」と定義。
● 調査期間:2025年8月21日~9月22日
● 調査方法:インターネット
● 有効サンプル数:医師2,066名
全体傾向から見る医師の三大コンテンツニーズとは
調査の結果、医師が製薬企業オウンドサイトで最も求めているコンテンツは以下の通りとなりました。
1位:治療ガイドラインの解説(53.4%):半数以上の医師が「治療ガイドラインの解説」を求めていることが明らかになりました。ガイドラインは日常診療の基準となるため、製薬企業による詳細な解説や最新情報へのニーズが非常に高いことがわかります。
2位:疾患に関連する論文・論文解説(28.3%):エビデンスに基づく医療が重視される中、論文情報や専門的な解説へのニーズも高い結果となりました。特に最新の研究動向を把握したい医師にとって、製薬企業による論文の要約や解説は有用なコンテンツとなっています。
3位:新薬の開発背景(27.4%) :医師は薬剤について科学的に理解し、患者に最適な治療を提供するために、開発背景情報を求めています。
40歳未満と40歳以上でほぼ共通するコンテンツニーズ
年齢別の分析では、世代間で大きな違いは見られず、上位3つのコンテンツニーズはほぼ共通していました。
両世代とも「治療ガイドラインの解説」が最も高く、「疾患に関連する論文・論文解説」と「新薬の開発背景」が続いています。2位と3位の順位がわずかに入れ替わっているものの、数値的な差は小さく、年齢を問わず医師が求めるコンテンツの方向性は一致していることがわかります。
全施設で共通する「治療ガイドライン解説」への高いニーズ
施設形態別の分析でも、医療機関の種別を問わず、基本的なニーズは共通していました。
全ての施設形態で「治療ガイドラインの解説」が1位となりました。2位、3位についても、「新薬の開発背景」「疾患に関連する論文・論文解説」「症例スタディ」といった実践的なコンテンツが上位に並んでいます。
3位のコンテンツに若干の違いが見られ、「大学病院」では「臨床試験データ解説」、「その他の病院(国公立以外の解説)」では「症例スタディ」がランクインしました。研究機関と一般医療機関という特性の違いが、わずかながら反映されていると考えられます。ただし、全体としては施設間で求められるコンテンツの方向性は一致しています。
全診療科で共通する「治療ガイドライン解説」の重要性
診療科別の分析では、専門領域による特徴が一部見られるものの、基本的なニーズは共通していることが明らかになりました。
注目すべきは、皮膚科を除く全ての診療科で「治療ガイドラインの解説」が約50%前後と高い割合を示している点です。皮膚科では28.1%とやや低めですが、それでも1位であることに変わりはありません。また、「新薬の開発背景」や「医薬品の基本情報」といった安全性・基本情報へのニーズも、どの診療科でも共通して高いことがわかります。
詳細はデータ分析機能でご確認ください。一覧以外の診療科についてもご確認いただけます。また、抽出したデータの保存も可能です。
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製薬企業オウンドサイトが今後取るべき医師の共通ニーズへ応えるコンテンツ設計:ラボ編集部からのコメント
今回の調査により、医師は年齢、施設、診療科を問わず、製薬企業オウンドサイトに「診療の質向上に直結する実践的なコンテンツ」を求めているという点が明らかになりました。医師は製薬企業オウンドサイトに「学術的価値のある情報源」として高い専門性と信頼性を期待しています。
製薬企業は、治療ガイドライン解説や安全性情報などのエビデンス情報を充実させ、医師がアクセスしやすいUI/UX設計を行うことが求められます。
本調査で明らかになった医師の共通ニーズに応え、単なる情報提供者から「医師の診療活動をサポートするパートナー」へと役割を進化させることが必要です。さらに、今後は一歩進んで、医師の声を継続的に収集し、コンテンツ戦略に反映させるPDCAサイクルを確立することが重要です。
また、MRの訪問活動とオウンドサイトを有機的に連携させるため、デジタルとリアルを融合させたオムニチャネルでの情報提供体制の構築が、今後の重要な課題となるでしょう。
なお、ガイドライン、ガイドライン解説への医師の期待は医師インタビューでも挙がっています。合わせて参照ください。
| 医師 | コメント | インタビュー記事 |
|---|---|---|
| O先生 ・施設形態:大学病院 ・診療科:総合診療科 |
使い慣れている薬剤であっても、ガイドラインの最新情報を入手できるなど、自身の知見をアップデートできる場合には講演会を視聴するようにしています。 | 【Web講演会 CASE01】MRからの案内方法で視聴意欲が高まるケースとは? |
| K先生 ・施設形態:大学病院 ・診療科:消化器外科 ・年代:30代 |
Web講演会はガイドラインの変更点についての解説がある場合には視聴します。 | 【MR未リーチ医師インタビュー】処方検討時に必要な情報と利用チャネル Vol.6 大学病院 勤務医編 |
| N先生 ・施設形態:国公立病院 ・診療科:消化器内科 ・年代:40代 |
新薬でもガイドライン速報に載ることがあるため、製薬企業サイトにも掲載があると、特に薬剤の立ち位置を把握しやすい | 医師視点で考える「使いやすい製薬企業オウンドサイト」 Vol.3 後編 |
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今後明らかにしていくこと
リサーチテーマ「医師ニーズを満たした製薬企業オウンドサイトとは?」では、医師のUXインタビューで挙がった医師の声を定量化しています。次回は、「製薬企業サイトが使いづらい理由No.1は「会員登録・ログインが手間」(63.5%)」で挙がった会員登録への不満を解消するにはどうすべきか?について調査した結果をご紹介します。
(文:松原)
