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【タブレットによる情報提供 CASE01】タブレット/紙それぞれの利点と不満点、今後への期待

記事公開日 2023.09.21
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記事公開日 2023.09.21

MRから医師への情報提供手段として、タブレットを活用している製薬会社も多いのではないでしょうか。デジタルデータは資材のバージョン管理や営業管理の面でも利便性が高く、効率の良い営業活動には欠かせないアイテムとなってきています。

タブレットでの情報提供について医師はどのような感想を抱いているのでしょうか。今回はさまざまな立場、お考えの先生3名に、情報提供手段であるデジタル/紙それぞれの利点や不満点、また、今後期待することを伺いました。

目次

K先生 タブレットより紙媒体を利用した案内のほうに利便性を感じる

  • ・年代50代
  • ・施設形態:クリニック
  • ・診療科:内科・循環器内科・消化器内科
  • ・MRとの面談数:20社(週)
  • ・取材日:2023年3月

MRとの面談状況

私は週に約20社と、5分程度の面談を対面で行っています。紙媒体を使用した説明が全体の約80~90%を占め、タブレットを使った説明はわずかです。

タブレットを利用した情報提供の利点

タブレットを利用した情報提供におけるメリットは、手渡しできない類の興味深い情報を閲覧できる点です。ですが、私はタブレットより紙媒体での情報提供に多くの利点を感じています。

タブレットでの情報提供への不満点

面談時にタブレットを出されると、正直なところあまり話を聞く意欲が湧きません。紙媒体であれば面談後にも手元に残りますが、タブレットの場合はMRの説明を聞いて理解したつもりでも、あとから見返すことができず記憶に残りづらく不満を感じます。

わたしの場合、5分程度の短い面談時間を設定しているため、駆け足でタブレット上のスライドを紹介されるよりも、情報を網羅的に受け取ることができる紙の冊子を渡してもらうことにありがたさを感じます。実際、紙媒体では巻末に添付文書など細かな情報が記載されていることも多く実用的です。

また、1台のタブレットで情報提供を受ける場合はこちらが画面を覗き込む形になります。画面が非常に見づらいですし、説明時にMRが指し示す箇所も分かりづらい場合があります。

対面での面談であっても、1台のタブレットを医師とMRが共有するのではなく、MRのタブレットから医師のPCに画面共有をしながら説明してもらえると、より見やすくなるのではないでしょうか。

紙での情報提供の利点

紙媒体は場所を取りますが、一番の利点は面談後も手元に残り後から見返すことができる点です。

タブレットでの情報提供へ期待する点

タブレットでの情報提供後に、MRから説明に利用したデータ送付があると、紙媒体での「後から見返すことができる」という利便性が加わり、便利になると感じます。

わたしのようにタブレットに馴染みにくさを感じている医師は一定数いると思います。そのため、医師から依頼のない場合でも、面談後に、面談時の資料を手短にまとめたものや、関連データを送付してもらえると非常に助かります。

わたし個人としては、紙媒体の情報提供の方がありがたいと感じています。ですが、関係性の良いMRからの案内は、紙媒体でもタブレットでも耳を傾けます。

情報提供の「手段」よりも、MRと医師がより良い関係性を築いていくことが重要なのではないでしょうか。

O先生 タブレットを利用した情報提供に利便性を感じるが、注意してほしい点もある。

  • ・施設形態:大学病院
  • ・診療科:総合診療科
  • ・MRとの面談数:6社(月)
  • ・取材日:2023年3月

MRとの面談状況

現在面談を行っているMRは約6社です。毎週1社のMRとローテーションで面談を実施しています。紙の署名が必要な場合を除き、面談は原則オンラインです。個別面談とは別に、医局内では週に1度、MRによる説明会が開催されます。説明会では、MRがタブレットを医局のプロジェクターに繋げて説明し、それとは別に詳細が記載された紙媒体が各医師に配布されます。

タブレットを利用した情報提供の利点

限られた時間内で情報を伝達する場合は、タブレットに利点があると感じます。紙媒体では、限られたスペースに多くの情報が記載されてしまい要点が分かりづらいというデメリットがありますが、タブレットの場合はスライドごとに情報が整理されており、流れに沿ってストーリーを理解しやすいと感じます。

また、わたしの質問への回答として、メインスライド以外の資料を活用して説明してもらえる点も、タブレット利用における利点だと感じます。実際に、わたしの質問に対して即座にタブレット内のデータを提示いただけた経験もありますし、MRとの1対1の面談では、紙媒体では配布できない情報を共有してもらったこともあります。

タブレットでの情報提供の懸念点

タブレットでの情報提供の際には、提示されている画面から見えない部分に重要な情報が隠れている可能性があることを注意しなければなりません。たとえば、特定の薬剤の有効性を紹介する際に、紙媒体では目に入るように表示されている安全性情報、注釈といった情報が、スライド上では流れを良くするために省略されてしまっていることがあります。

タブレットを使用した説明を受ける際は、スライドの流れに従って内容を理解しやすい反面、必要な情報が欠けていることを見逃さないように注意深く確認する必要があり、そのためには情報を受け取る側の情報リテラシーが重要であると感じています。

タブレットでの情報提供に期待すること

MRからタブレットで説明を受けている際、わたしが手元の紙媒体を参照しながら質問すると、それに回答できないMRもいます。MRには、自身が紹介したいスライドの内容だけでなく、紙媒体の内容や薬剤・疾患に関する網羅的な情報を十分に理解するよう努めて欲しいです。

また、タブレット上で表示するスライドと紙媒体では、それぞれ異なる役割があると理解しています。タブレット利用時には、紙媒体の情報をそのまま表示するのではなく、医師へ伝えたいことを明確にし、ストーリーを整理した上で説明してもらえるとわかりやすいと感じます。医師に合わせた情報提供をスマートに行える点がタブレット利用の大きなメリットだと思うので、その点期待しています。

Y先生 タブレットを利用した情報提供に利便性を感じるが、紙媒体の方が説明に適しているケースもある。

  • ・施設形態:大学病院
  • ・診療科:呼吸器内科
  • ・MRとの面談数:2社(週)
  • ・取材日:2023年4月

MRとの面談状況

週に2社ほどのMRと面談を実施し、8割程度が対面面談です。

MRとの面談時はタブレットでの情報提供がほとんどですが、場合によってはパンフレットなどの紙媒体で面談を行うケースもあります。

わたし自身、タブレットでの情報提供には多くの利点があると感じています。紙媒体はかさばりますし、ほかの資材にまぎれて無くしてしまうこともあり、紙が勿体ないと感じます。

紙媒体が必要な場合はMRに依頼します。基本的にはタブレットでの情報提供で十分と感じています。

タブレットでの情報提供に感じる利点と不満点

タブレットの場合、こちらが質問した内容に対して即座に回答を提示してもらえるケースがあり、利便性を感じます。また、パンフレットなどの紙媒体の場合は、自分でページをめくる必要がありますが、タブレットの場合はスライド切り替えもMRがコントロールするため説明内容に集中できます。

ですが、タブレットで提供された情報は後から見返せない点が不便です。後で見返したい情報がある場合にはMRに紙媒体を依頼しています。

タブレットでの情報提供の比率が増えてきていると感じますが、メーカーによってスライド内容の演出に差があると感じています。

特に大手や外資系の製薬会社の場合タブレットで表示するスライドを作成する専門の部門があるようです。目を引くアニメーション表示があったり、ワンタップで即座に目的の情報に辿り着けたり、選択肢によって説明内容が分岐したり、タブレットでの情報提供のため各社さまざまな工夫を凝らしていると感じます。

一方で、質問を投げかけた際にPDFを何ページも遡ってデータを探すMRもいます。

薬剤に対する理解度には影響しないものの、動きのあるスライドがあったり、必要な情報にすぐ辿り着けたり、デジタルならではの特徴を生かしたタブレット活用ができると、お互いにストレスが少ないのではないでしょうか。

アニメーション演出は多用すると見づらくなってしまいますが、キースライドや、試験結果の図表など印象付けたい部分に活用すれば、要点を明確に理解しやすく、記憶にも残りやすいと思います。

紙での情報提供の利点

製品情報概要や製品パンフレットなどの、臨床試験データをはじめ用法容量を含む添付文書情報が見やすく網羅的にまとめられている紙媒体は提供してもらいたいです。

特に、重篤な有害事象が懸念される薬剤に関しては、自分だけでなく他の医局員にも周知する必要があり、その際に紙媒体は医局内での情報共有に重要な役割を果たします。

タブレットでの情報提供に期待すること

タブレットは、紙媒体よりも強力に視覚へのアピールを行うことができます。アニメーションを活用した目を引くスライドを用意したり、検索性に優れた機能を持たせて質問に即回答できるようにしたりするなど、デジタルならではの特性を活かした情報提供を期待しています。

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