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医療系インターネットサイトの使い分けVol.3 – クリニック院長編 -

記事公開日 2024.11.06
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記事公開日 2024.11.06

取材年月日:2024年7月

各製薬企業は、医療系インターネットサイトやオウンドサイトを活用して薬剤情報を提供していますが、先生方が、医療系インターネットサイトをどのように活用しているか掴み切れていません。本インタビューではこの点を明らかにしていきます。

今回は、腎臓内科のO先生にお話を伺いました。

O先生プロフィール・施設形態:クリニック ・診療科:腎臓内科
・役職:院長
・年代:40代
・メディアマインドシェア:マルチメディア派

目次

よく使う医療系インターネットサイトと利用状況

O先生がよく使う医療系インターネットサイトと、その利用状況や主な利用シーン、主なアクセス方法について伺ったところ、下表のような回答が得られました。

<よく使う医療系インターネットサイトと利用状況>

医療系インターネットサイトの利用目的を教えてください

主に利用しているm3では、薬剤についての情報収集と、厚労省のインタビュー記事や診療報酬改定などの医療系ニュースを見ています。サイトを定期的に確認していて、Yahoo!のトップページのニュースのようなイメージで、目に留まったものを見ていますね。
日経メディカルOnlineは、定期的に確認するというよりも、メールマガジンからアクセスして夜の時間がある時に確認しています。

薬剤の情報収集にはどのようなコンテンツを利用していますか?

インターネット講演会を流し見しています。また、m3のMR君からも情報収集しています。

製薬企業のWebサイト(以下、製薬企業サイト)はどのように利用されていますか?

製薬企業サイトでは、新薬の作用機序などを調べています。また、CKDの患者さんに製薬企業サイトを見せながら、腎臓や疾患について説明しています。説明用の資料が充実している製薬企業サイトもありますね。

各サイトに期待することや求めることはありますか?

m3のMR君は最近減ってきた気がするのと、インターネット講演会もコロナ禍と比べて下火になってきている印象なので、もう少し増やしてもらえるとありがたいですね。

製薬企業サイトは患者さん向けの説明資料が充実しているので、見つけやすい工夫をしてもらえるとありがたいです。

各医療系インターネットサイトについての印象

各医療系インターネットサイトへの印象を伺いました。

<サマリ:各医療系インターネットサイトについて>

媒体 コメント
m3 <印象>
・Yahoo!に近いイメージ。
・使い勝手が良い。
・ページが見やすく、アクセスしやすい。
<情報>
・情報量が多い。
・口コミや検索できる仕組みもあって工夫されている。
<インターネット講演会>
・日経メディカルOnlineとオーバーラップしている。
・案内がある講演会は専門領域の内容にフォーカスされている気がする。
・腎臓領域と透析関係の情報はだいたい得られる。
・アプリで利用しているのでアクセスが早くて見やすい。
<スポンサードコンテンツ>
・他のサイトとコンテンツに大差はない。
・アクセスしやすい。
・見慣れているので、製薬企業サイトのコンテンツよりも文字や文章が読みやすい。
日経メディカルOnline <印象>
・専門性の高い情報にフォーカスしている。
<情報>
・疾患の解説などがある。
<インターネット講演会>
・m3とオーバーラップしている。
<スポンサードコンテンツ>
・他のサイトとコンテンツに大差ない。
MEDLEY <印象>
・これから伸びていくという印象。
<情報>
・薬剤情報を確認している。
・共通のフォーマットで薬剤情報が確認でき、書籍や製薬企業サイトよりも使いやすい。

医療系インターネットサイトで最も利用しているのはどのサイトでしょうか?

m3です。m3はページが見やすいのとアクセスしやすくて使い勝手がいいので、最も利用しています。

医療系インターネットサイトで利用しているのはm3、日経メディカルOnline、MEDLEYとのことですが、そのほかのサイトを利用しないのはなぜでしょうか?

コロナ禍の2020年2月か3月ごろから医療系インターネットサイトを利用し始めて、その際に5~6個登録したのですが、m3と日経メディカルOnlineが残りました。
MEDLEYも最初はIDとパスワードでログインしていましたが、当時サイトが洗練されていない感じがしてログインしなくなりました。薬剤名で検索すると上位に出てきますし、現在は検索からアクセスしています。
そのほかのサイトは、見やすさや医療系の記事の充実度がm3や日経メディカルOnlineに及ばなかったので、自然と利用しなくなりました。

コロナ禍以前に医療系インターネットサイトは利用していなかったのでしょうか?

はい。コロナ禍以前に医療系インターネットサイトは利用していませんでした。

処方判断に影響を与えている医療系インターネットサイトはありますか?

処方判断の起点は同期や同僚の医師からの情報や口コミ、MRの訪問といったリアルからの情報が多く、リアルの情報だけでは足りない部分を、医療系インターネットサイトなどで補強しています。特に、完全に新規の薬剤については処方判断の起点はリアルの情報で収集すべきという考えがあります。

情報を補完する上で最も参考にされているサイトはどちらでしょうか?

m3です。情報量が多く、薬剤に関する口コミやサイト内で検索できるような仕組みもあって工夫されていて調べやすいですね。

各サイト内で開催されているインターネット講演会には違いがありますか?

特に違いはないと思います。ただ、m3の方が専門領域にフォーカスした講演会の案内が多い気はします。
また、m3はアプリで利用しているので、操作しやすくて見やすい環境です。

医療系インターネットサイトがひとつしか使えなくなるとすると、どのサイトを選びますか?

m3です。情報量とアクセスのしやすさ、ポイントもつくというところで、総合的にm3ですね。

医療系インターネットサイトと製薬企業サイトの違い

医療系インターネットサイトと製薬企業サイトについて、それぞれの印象・イメージ、処方判断への影響を伺いました。

<医療系インターネットサイトと製薬企業サイトの項目ごとの違い>

医療系インターネットサイト 製薬企業サイト
印象・イメージ 毎日利用する 毎日は利用しない
処方判断 既に処方経験がある薬剤の処方判断に影響 新薬の処方判断に影響
インターネット講演会 大きな差はない
薬剤コンテンツ 内容に大きな差はないが、フォーマットが見慣れている 情報量は多い
MRとの連携 どちらも連携しやすさというものはない

医療系インターネットサイトと製薬企業サイトのイメージの違いを教えてください

例えると、医療系インターネットサイトはファミリーレストランで、製薬企業サイトはステーキ専門店というイメージです。
医療系インターネットサイトは、薬剤だけでなく医療系のニュースなど幅広い情報が載っていて頻度良く訪問します。一方、製薬企業サイトは疾患領域が限定的ですが、その範囲においては網羅的に情報が載っていて、医療系インターネットサイトには載っていない薬剤や疾患の情報もあります。ただ、頻度良く訪問するかというとそうではありません。

処方判断に影響を与えるのはどちらでしょうか?

医療系インターネットサイトです。新薬に関しては製薬企業サイトを見ますが、利用している頻度や得ている情報量からすると医療系インターネットサイトの方が影響すると思います。
新薬以外の処方判断の起点となるのはMRなどのリアルからの情報ですが、リアルや医療系インターネットサイトから情報を得て、さらに情報がほしいときに製薬企業サイトを利用するという流れです。

医療系インターネットサイトと製薬企業サイトで、開催しているインターネット講演会の違いや印象などを教えてください

医療系インターネットサイトも製薬企業サイトもインターネット講演会の内容はかぶっていることもあり、違いはありません。
違いがないのであれば、最もアクセスしやすいm3を利用します。わたしの専門領域の腎臓領域や透析関係の情報はm3からだいたい得ることができます。

医療系インターネットサイト内にある製薬企業のスポンサードコンテンツと、製薬企業サイトに載っている薬剤に関するコンテンツについて、違いや印象などを教えてください

医療系インターネットサイトのスポンサードコンテンツは製薬企業が提供しているので、コンテンツの内容については大きな差はないと思います。
情報量は製薬企業サイトの方が多いとは思いますが、文字や文章は見慣れているフォーマットの方が読みやすいので、内容に大きな差がないのであれば医療系インターネットサイトを利用します。

情報量というところで、製薬企業サイトにしかないのはどのような情報でしょうか?

図や具体的な数字などの情報は製薬企業サイトの方が充実している印象です。おそらく契約の関係などで医療系インターネットサイトには載せられないのだと思います。

市販直後調査などの情報はいかがでしょうか?

市販直後調査の情報は製薬企業サイトに載っている印象ですね。ただ、市販直後調査はMRが提供してくれる情報を確認しています。また、非専門領域の薬剤についての市販直後調査はほとんど確認していません。

MEDLEYのドラッグインフォメーションが見やすいとのことでしたが、製薬企業サイトとの違いはどのようなところでしょうか?

製薬企業サイトのドラッグインフォメーションはサイトの作りが各社違うので、目的の情報にたどり着くまでに時間がかかり苦労します。また、医療系インターネットサイトの方が見慣れているというのもありますね。

医療系インターネットサイトと製薬企業サイトでは、MRと連携しやすいのはどちらでしょうか?

どちらも連携しやすさというのはありませんね。わたしの中では、リアルとネットを切り分けているのが理由です。

医療系インターネットサイトなどで疑問が生じた際にはどのように解決していますか?

疑問が生じたときは同期や同僚の医師に聞いたり、さらにインターネットで調べたりします。わざわざMRに連絡して聞くということはあまりありませんね。

医療系インターネットサイトと製薬企業サイトのどちらかしか使えないという場合は、どちらを使い続けますか?

医療系インターネットサイトです。製薬企業サイトの内容は充実してはいますが、各製薬企業のサイトそれぞれにアクセスする必要があり、手間がかかるのが理由です。

ひとつのサイトでいろいろな製薬企業の薬剤情報を見ることができるとしたら、先生にとって望ましいでしょうか?

はい。そのサイトさえ見れば薬剤情報が一通り手に入るとなれば、望ましいです。

ラボ編集部より

今回インタビューしたO先生は、医療系インターネットサイトはm3と日経メディカルOnlineを利用していて、薬剤基本情報の検索時にMEDLEYのサイトを利用していました。

各サイトの印象としては、m3が「情報量が多くアクセスしやすい」、日経メディカルOnlineが「専門性の高い情報にフォーカスしている」、MEDLEYが「ドラッグインフォメーションが見やすい」ということでした。

製薬企業がプロモーションとして活用するという視点では、m3と日経メディカルOnlineの2サイトとなりますが、非専門医も含めて情報提供をする必要があるケースではm3、専門医のみに情報提供をする必要があるケースでは日経メディカルOnlineといった使い分けも検討の余地がありそうです。
(あくまで、両サイト間で配信可能Dr.数に差がないことが前提なりますが。)
医療系インターネットサイトと製薬企業サイトの比較では、医療系インターネットサイトは処方経験のある薬剤の情報収集、製薬企業サイトは新薬の情報収集で優先的に利用していることが伺えましたので、薬剤のライフサイクルに合わせた両サイトの使い分けや組み合わせが出来れば、より効果的な情報提供が実現できると思われます。

また、製薬企業サイト上にある患者さん説明資料の評価が高く、実際に診療中に活用されているとのことでしたので、患者さんへの説明が重要な薬剤・疾患においては、患者さん説明資料の充実とその資料の探しやすさを追求することが求められているのではないでしょうか。

今後

今後明らかにしていくこと

今後は、今回のインタビュー内容を参考に、医師の医療系ポータルサイトの使い分け方法を定量化していきます。

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