ポイント目的の医療系ポータルサイト利用と処方影響
DM白書2023年秋号では、約7年ぶりに医療系ポータルサイトを特集テーマとして調査を行いました。その中で医療系ポータルサイトにアクセスする目的として、ポイント獲得が大きな割合を占めることが分かりました。製薬企業各社のご意見を踏まえ、今後の医療系ポータルサイトによる情報提供について検討できるよう、追加集計と分析を実施しました。今回は、ポイント目的のアクセスか否かによって医療系ポータルサイトが処方に与える影響に違いが出るか、その影響が小さい医師はどのような属性の医師であるかについて分析しています。
「DM白書2023年秋号」(n=5,094名)の回答を対象にしています。
2024.10.02記事更新:「年齢」「診療科」「診療疾患」「施設形態」「チャネル志向性」でデータの抽出ができる属性別データ分析機能を追加しました。
下記「属性別データ分析機能を使う」ボタンよりご活用ください。
前提条件
・各医療系ポータルサイトについて、アクセス頻度が月に1回以上の医師に限定して集計※1
・医療系ポータルサイトにアクセスする目的について、「ポイントのみ」「薬剤関連の情報収集のみ」「ポイントと薬剤関連の情報収集の両方」の3パターンに分類して集計※2
・上記分類ごとに、その医療系ポータルサイトを情報源の1つとして処方行動が変化した薬剤の回答があった医師数(PI回答医師数)、その回答率(PI回答率)を集計※3
結果サマリ アクセス目的分類のPI回答率
ポイントのみを目的にアクセスする医師は、薬剤の情報収集をアクセス目的に含む医師と比べて、PI回答率が約1/3~1/4と、とても低い結果となりました。
ポイントと薬剤関連の情報収集の両方を目的としてアクセスする医師は、薬剤情報のみを目的としてアクセスする医師と比べて、PI回答率に大きな差はありませんでした。
結果サマリ ポイントのみを目的にアクセスする医師の属性
続いて、医療系ポータルサイトが処方に与える影響が小さい医師はどういった属性の医師であるのかを明らかにするため、施設形態別に集計を行いました。5つの医療系ポータルサイトのうち、もっとも利用医師数の多いm3の利用医師を対象に集計しています。
医療系ポータルサイトへのアクセス目的分類別PI回答率(m3)
医療系ポータルサイトへのアクセス目的分類別PI回答率(m3)
医療系ポータルサイトへのアクセス目的分類別PI回答率(m3)
施設形態別にみると、ポイントをアクセス目的に含む上2つの分類においては、一般(民間)病院と医院・診療所・クリニックのPI回答率が高く、大学病院、国立・公立病院のPI回答率が低い結果となりました。一方で、薬剤情報のみを目的とする医師については、施設形態間でのPI回答率にあまり差がありませんでした。
ラボ編集部からのコメント
ポイント目的のみで医療系ポータルサイトを利用する医師については、医療系ポータルサイトが処方へ与える影響度は低いことが分かりました。ただし、ポイント目的を含んでいても、併せて薬剤情報の収集を目的としている場合には、処方に対してマイナスの影響はなく、集客への貢献を考えるとポイントが一定の役割を果たしていると考えられます。
また、各目的でアクセスしている医師を施設形態別に見てみると、大学病院、国立・公立病院といった専門性が高い施設にいる医師については、ポイントだけでなく薬剤情報の収集もアクセス目的に含んでいる場合でも、処方への影響が比較的小さいことが分かりました。
このことから、ポイントのみを目的として医療系ポータルサイトにアクセスしている約15%の医師については、医師を特定して、医療系ポータルサイト以外でのアプローチを検討することが望ましいでしょう。
また、専門性の高い施設の医師についても処方への影響が小さくなるケースが多くなるため、ターゲットとなる医師が絞り込めている専門性の高い薬剤については、医療系ポータルサイトに頼らず、オウンドサイトやMRなどを通じて、製薬企業側から直接情報提供を行うべきであると考えられます。
※本記事掲載のデータはダウンロードにて提供しています。
※1
設問「Q7_3.下記のウェブサイトについて、先生が現在利用されている頻度をお教えください。」において、「ほぼ毎日」「週に2~3回程度」「週1回程度」「月に2~3回程度」「月に1回程度」のいずれかを回答した医師を対象に集計。
※2
設問「Q7_6.下記のウェブサイト(メールマガジン含む)ごとに、アクセスする目的についてあてはまるもの上位3つ(最大)をお教えください。」の回答内容に応じて分類を実施。「特定の薬剤情報を調べる」「特定の薬剤に関する医師の評価を確認する」「製薬企業主催のインターネット講演会を視聴する」「製薬企業MRと連絡を取る」の4つを薬剤関連の情報集目的と定義し、選択肢「ポイントを貯める・使う」との重複状況によって分類。
※3 2023年4月~6月末で、情報を元に処方行動が変わった薬剤名とその企業名、その情報入手先についての回答結果のうち、情報源として各医療系ポータルサイトを選択した回答がある医師をカウント。
出典
●DM白書2023年秋号
調査期間:2023年7月26日~8月1日
調査方法:インターネット
有効サンプル数:医師5,094名
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