コロナ禍を経て医師のメディアマインドシェアとチャネル接触時間はどのように変化したか?(2017年~2024年推移)【DLあり】
「DM白書」では、医師5,000人以上を対象として情報収集活動における医師の実態やニーズについての定量調査を報告書としてまとめています。
本記事では、2017年~2024年のDM白書冬号の回答を基に、メディアマインドシェア※1とチャネル別接触時間の推移を調査した結果をご紹介します。
2019年末に発生した新型コロナウイルスは、医療現場の情報収集方法にも大きな影響を及ぼしました。病院への訪問規制が強化されたことによりMRが医師とリアルで面談できる機会が減り、医師の情報収集方法もデジタルチャネルにシフトしたと言えます。2024年4月には医師の働き方改革が施行され、医師を取り巻く情報収集環境は大きく変化しています。
このような状況において、医師の情報収集活動がどのように変化したのか、また現在どのような媒体が有効とされているのかを把握することは、製薬企業のマーケティング戦略にとって非常に重要です。
本記事では、2017年~2024年のDM白書冬号のデータをもとに、医師のメディアマインドシェアの推移とチャネル別接触時間の変化についてご紹介します。
前提条件
- ● DM白書2017年~2024年の各冬号を対象に集計
- ● 設問「先生が疾患・薬剤情報を得る際に活用する媒体をお教えください。活用する媒体全体を100%としたとき、それぞれの項目の占める比率をお教えください。」の回答内容を集計。なお、「インターネットサイト」は、製薬企業のウェブサイト、医療系ポータルサイト、メールマガジンを含む。「医療従事者」は、先輩・同僚・医師仲間、知人の医師、薬剤師を含む。
- ● 設問「各媒体から疾患・薬剤情報について、1週間に何時間ぐらい情報提供を受けていますか。平均的な時間をお教えください」の回答内容を集計。
メディアマインドシェア上位は「MR」と「インターネットサイト」
2017年から2024年のメディアマインドシェアの推移です。
※本記事に掲載されている図表をすべてダウンロードしてご利用いただくことができます。
2017~2024年のメディアマインドシェアの推移では、「MR」と「インターネットサイト」が上位に位置しています。
「MR」は2018年の時点で急激にメディアマインドシェアを落とし、その後は横ばい状態にあります。「インターネットサイト」は2018年に「MR」を抜いてメディアマインドシェア1位となり、2022年に2位、2023年には再び「MR」を抜いて1位となっています。
2020年を境に、「インターネット講演会」が急増し「学会」は減少。「学会」のメディアマインドシェアはその後も下降傾向です。
インターネットサイトでの情報収集は3~3.5時間(/週)
2017年から2024年のチャネル別接触時間の推移です。
※本記事に掲載されている図表をすべてダウンロードしてご利用いただくことができます。
「インターネットサイト」の接触時間(/週)は、2017年から2024年の間で3~3.5時間となっています。「インターネット講演会」の接触時間は2021年に前年に対し2倍の2時間に上昇しましたが、その後下降し2024年は1時間程度となっています。
メディアマインドシェア上位の「MR」の2024年における接触時間は1.08時間でした。
ラボ編集部からのコメント
2017年~2024年のメディアマインドシェアと接触時間の推移からは以下のことが読み取れます。
- ● インターネット講演会:2021年をピークにメディアマインドシェア、接触時間ともに下降傾向です。2024年の接触時間は1時間程度であり、医師は数多く開催されるインターネット講演会の中から必要なものだけを選択して情報収集していると考えられます。
- ● 医療従事者:2022年を境に徐々にメディアマインドシェアが緩やかに上昇しており、医師の働き方改革以降院内での情報収集時間が上昇傾向にある※2という調査結果を踏まえると、今後の推移によってはチャネルとして見過ごせないものになるかもしれません。
医師の情報収集のデジタル化が進む一方で、メディアマインドシェアの高い「MR」は今後も重要なチャネルと言えるでしょう。また、DM白書ラボの調査では、医師が複数のチャネルを連携した情報提供を行っている※3ことも明らかになっています。医師にとっての情報収集の質を向上させるためには、MRとデジタルチャネルの連携をより一層深めることが必要でしょう。
今後明らかにしていくこと
医師のチャネル利用の実態・ニーズは、DM白書ラボ リサーチテーマ「医師ニーズに沿った最適なチャネルの組み合わせとは?」※4で継続して調査しています。ぜひご覧ください。
- ※4 リサーチテーマはこちら
出典
- DM白書2017年冬号
調査期間: 2017年10月、 調査方法:インターネット、 有効サンプル数:5,000名 - DM白書2018年冬号
調査期間: 2018年10月5日~10月22日、 調査方法:インターネット、 有効サンプル数:5,037名 - DM白書2019年冬号
調査期間: 2019年10月4日~10月18日、 調査方法:インターネット、 有効サンプル数:5,020名 - DM白書2020年冬号
調査期間: 2020年10月15日~10月28日、 調査方法:インターネット、 有効サンプル数:5,050名 - DM白書2021年冬号
調査期間: 2021年10月15日~10月25日、 調査方法:インターネット、 有効サンプル数:5,057名 - DM白書2022年冬号
調査期間: 2022年10月20日~10月31日、 調査方法:インターネット、 有効サンプル数:5,074名 - DM白書2023年冬号
調査期間: 2023年10月13日~10月20日、 調査方法:インターネット、 有効サンプル数:5,069名 - DM白書2024年冬号
調査期間: 2024年10月4日~10月17日、 調査方法:インターネット、 有効サンプル数:5,117名
(文:松原)
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