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生成AI・メタバースがもたらす新たな可能性

記事公開日 2023.11.29
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記事公開日 2023.11.29

木村情報技術(株)代表取締役 木村隆夫 氏
講演日2023年10月18日

木村情報技術は、製薬企業向けサービスとして、Web講演会実績と医薬品情報AIチャットボットの導入実績で業界をリードして参りました。今回は、新たに取り組んでいる製薬企業向けの生成AIとメタバースについてご紹介します。

目次

Web講演会・学会など、さまざまなシーンでの利用価値が見えてきた「メタバース」

弊社では、メタバースの研究開発に取り組んでおり、この1年半ほど多くの企業様にサービスを提供しています。メタバースの利用シーンとしては以下のようなものがあります。

メタバースの活用事例

(1) Web講演会、学会での利用

Web講演会、学会、大規模集会、イベント後の交流会や情報交換会なども併せてメタバース空間での実施が可能です。
また、説明会や学会のポスターセッションの場としてご利用いただくことも可能です。メタバース空間は、こういった大きなイベントでの利用価値が高いという手ごたえがあります。演者の方は参加されている皆様のアバターを確認できますし、視聴者の方にとってもスクリーンを見やすいように会場を構成することも可能です。メタバースの事例はこの1年半でかなり蓄積できています。

(2) 社内行事での利用

朝礼やレクリエーション、ミーティングをメタバース上で行うことが可能です。弊社では定期的にメタバースを利用した集会を実施しています。

(3) 会議やワークショップでの利用

2~30人程度のより小規模な空間で、社内・外のミーティング、面接や会社説明会などの用途でご利用いただくことが可能です。防音設備を備えた部屋もあり、さまざまな使い方が想定できます。

メタバースの課題

しかし、医療従事者や製薬企業の方々のPC環境へメタバース空間を表現するためのソフトウェアをインストールする必要があることや、メタバース空間を利用する際はPCに一定の性能が要求されるなど、未だ多くの課題も存在しています。また、製薬企業の方々からは「忙しい医師の先生方が本当にメタバース空間に来てくださるのか?」という懸念もいただいておりますので、「医師が定期的に来たくなるメタバース空間とはどのようなものか?」という視点で、研究開発を続けています。

現場で活用できる有用な生成AIとは?

弊社は、IBM Watsonの日本語版が提供開始された2016年に、日本で初めてIBM Watson日本語版の取り扱いを初め、以来7年以上人工知能を用いたAIチャットボットの研究を行っており、150社以上のAIチャットボット導入支援実績があります。

近年の生成AIは、これまで一問一答形式の応答スタイルであったAIチャットボットとは異なり、大きな可能性を秘めていると感じます。しかし、適切な方法で用いなければその真価を引き出すことはできません。

例えば、生成AIの検索エンジンで取得可能な情報について尋ねても、正確な答えが返ってこないということが発生します。一方、具体的な論文を示して要約を指示すると、正確な翻訳と要約が返ってきます。

製薬企業で生成AIを活用するために必要なこと

生成AIを実際に現場で活用するためには、目的に合わせたプロンプト作成が必要です。

指定した文字数内で、必要な数値やデータを盛り込んだアウトプットを得るためには、プロンプトを工夫しなければなりません。また大量のデータを扱う場合は、プロンプトの文字数制限に注意が必要です。こうしたハードルを乗り越える仕組みを、我々は研究開発しています。

加えて、ハルシネーション※1という現象が知られているように、生成された文書の正確性も保証しなければなりません。ただしすべてを人力でレビューしていては意味がありませんから、レビューのコストを低減する技術も必要です。製薬企業様にご利用いただくためには、プロモーションコードの遵守も重要となります。

生成AIの活用においては、使う側の視点や思考のレベルアップが必要です。弊社はプロンプトのエンジニアリングにも取り組んでいます。

※1 人工知能(AI)が事実に基づかない情報を生成する現象のこと

生成AIの活用事例

(1) MRディテールにおける、ロールプレイング

生成AIを利用して、MRディテールのロールプレイングを行うことが可能です。ロールプレイングでは生成AIが医師役を担い、MRとのやり取りを行います。

対象となる医師の施設・診療科情報や製品の情報に合わせたディテール内容をもとにプロンプトを作成し、ロールプレイング内容についてMRの受け答えを評価基準別に採点し、フィードバックを得ることができます。

▼MRロープレ画面

(2) AIチャットボット

AIチャットボットに生成AIを連携させることで、より幅広い質問に対応することができるようになります。

従来当社が提供しているAIチャットボットは一問一答形式で、正確かつハルシネーションの恐れがありません。しかし、例えば「貧血の副作用はありますか」という自然言語の質問には答えられたとしても、「貧血」という単語だけでは回答を得ることができません。このような状況は頻繁に発生しています。

ここに生成AIを連携させることで類似の質問をいくつか提示し、質問者はその中から意図したものを選択することで、適切な回答を得ることができるようになります。

▼AIチャットボット×生成AI

(3) 製品Q&Aの作成・更新

生成AIを使用することで、これまで大きなコストがかかっていたAIチャットボット用のQ&A作成、更新を容易に行うことができるようになっています。

新製品のQ&A作成時は、添付文書やインタビューフォームなどの情報を入力すると生成AIがQ&Aを作成します。新しい論文が発表された際も、生成AI が論文内容に基づいた情報更新を行うことが可能です。

最後に

弊社では、本日ご紹介したメタバースと生成AIを組み合わせた技術研究も行っています。デジタルを活用した情報提供のあり方が大きく変化していく中で、弊社の技術を製薬企業の皆様の実現したいこととうまくリンクさせ、活用していただきたい、と考えております。

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