Web講演会の視聴データ定量分析による振り返りと改善 ~医師の双方向コミュニケーションのニーズへの対応~
(株)Jストリーム ソリューション推進本部 副本部長
岡田 至功 氏
講演日 2023年4月21日(金)
Web講演会実施においてターゲット医師のニーズを踏まえた企画・制作がこれまで以上に重要となっています。製薬会社含め数多くのオンライン講演会の配信を行う株式会社Jストリームより、Web講演会の分析機能を活用した、改善につながるWeb講演会の分析方法についてご紹介いただきました。
目次
Web講演会の質分析と改善ステップ
Web講演会の質分析と改善は7つのステップで実行されると考えています。
Step1:プロダクト・ライフサイクルや買行動モデルに沿ったターゲティングのセグメンテーションとシナリオ設計
Step2:講演会のコンテンツ企画
Step3:最適なメディアの選定とプロモーション対象のフィルタリング
Step4:適切なゴール設定(期待する意識変容または行動変容は何か?)
Step5:視聴後の効果検証(ターゲットリーチ率、コンバージョン率)
Step6:課題の発見・把握
Step7:改善施策
Web講演会のデータ収集・分析・活用『WebinarAnalytics』
当社が提供する「WebinarAnalytics」は、オンライン上でWeb 講演会の実施結果を定量的に振り返り・分析できるサービス です。マクロの調査サービスとは異なり、講演会毎タイムリーに集積して分析することで、より精緻なデータをもとに、次の講演会に向けた改善策の検討や医師へのインターネットでの適切な情報提供活動を支援いたします。
Web講演会の効果検証(質分析)には、集客、コンテンツの質、サービスの質という3つの評価軸が重要です。
(1)集客の分析
オウンドメディアやサードメディアでの参加率やターゲットリーチ率など集客を最適化していくための要素を分析
(2)コンテンツの質分析
視聴意欲を最後まで維持できるプログラムの構成や、テーマや講演の深度に沿った適正な講演会の構成などを分析
(3)サービスの質を分析
プログラムの進行が円滑に行われているかどうか、快適な視聴体験を提供できているかなどを分析
これら3点のポイントを踏まえ、具体的な分析例や改善例を示していきます。
具体的な分析・改善例
(1)集客の最適化
集客の最適化の方法として、2つご紹介します。
・参加率から見る
1つ目は招聘または予約に対して実際に視聴された医師の参加率から課題を見つける手法です。
「WebinarAnalytics」では、参加率の分母としてオウンドサイトの会員数や、案内メール、案内状の配信数、講演会の予約数といった様々な要素を選択可能です。視聴者数を分子とすることで、様々な形で参加率を可視化することができます。「WebinarAnalytics」では翌朝には結果を自動的に可視化できるため、よりクイックな分析が可能です。
・メディア別比較から見る
2つ目はメディア別に参加率やターゲットリーチ率を比較し、メディアの選定に課題がないか確認する手法です。
講演会毎に、KPIとなるスコアをメディア別にダッシュボード上の一覧で見ることが可能です。分析したい内容でKPIをカスタマイズすることもできるため、自社オリジナルのダッシュボードでメディア別の分析をスピーディに行うことが可能です。
(2)コンテンツの最適化
・ターゲットリーチ率から見る
コンテンツの最適化の方法を2点ご紹介します。
1点目は、各製品に対するターゲットの視聴率からターゲットニーズにマッチした講演テーマであったかどうかを確認する手法です。
「WebinarAnalytics」ではターゲットのリーチ率を自動的に可視化するという特徴に加え、メッセージングやテーマの切り方によるリーチ率と視聴時間割合などを組み合わせた分析が可能です。
・視聴時間割合から見る
2点目は、視聴者のニーズと講演会で提供される情報内容がマッチしていたかどうかを大まかに捉えその原因を考察する手法です。
講演ごとの平均視聴時間割合を比較した場合、平均視聴時間割合が高いほど視聴者の意欲と持続度が高かったといえます。ベストプラクティスを発見することは可能ですが、要因分析には不十分です。
「WebinarAnalytics」では視聴時間割合をばらつきで評価するグラフを生成して確認可能です。例えば、講演会中に離脱者が多かったシーンや集客媒体などが分かります。様々な視点から視聴時間を分析し、組み合わせて集客の質などを分析するという手法が簡単に可能となっています。
(3)視聴者のインサイトとブランドリフト(態度変容)
・シーン分析から見る
インタラクションをシーン毎に分析し、視聴者の心理やニーズを知る手法を紹介します。
視聴画面に、「いいね」や「なるほど」、「知ってた」「知らなかった」など、感情や感想を表すボタンを配置して、感情が動いたタイミングで押してもらうことで、視聴者の心理やニーズを可視化します。
どのシーンでどのような反応があったか把握、分析することにより、視聴者が特に興味 、関心を持ったシーンや疑問を知り、次の講演会内容の改善やアクションにつなげることが可能です。
(4)集客・コンテンツ・サービスの最適化
・スコアリングから見る
スコアリングから見る集客・コンテンツ・サービスの最適化を紹介します。
全社横断的な評価軸で講演会を評価することにより、講演会の質改善のプロセスの均質化やベストプラクティスの発見とナレッジシェアリングにおける全体最適を実現するものです。
「WebinarAnalytics」では6つの評価軸をスコアリングに採用しております。
・視聴者数:講演会の総視聴人数
・会員リーチ率:総視聴数/招聘数
・ターゲットリーチ率:ターゲット視聴者数/ターゲット数
・平均視聴時間割合:講演会開催時間内における(追っかけ再生含む)各視聴ユーザーの視聴時間を講演会予定時間で割った値、割合の平均
・インタラクション:各インタラクションの参加人数に対する回答数の割合
・評価:評価ボタン、Goodボタンなどの評価結果
スコアリングは講演会の翌日には自動で完了しているため、まずは大まかな講演会の効果、成果を把握できます。
・統計データから見る
統計データから集客・コンテンツ・サービスの最適化する手法について紹介します。
「WebinarAnalytics」では講演会情報を統計データ化し、医療業界全体で活用する形でサービスを提供しております。
<統計データを活用した提供内容>
・自社製品と同じ疾患領域の業界平均スコアと比較
・自社の基準で業界平均データを相対比較
・定期的な疾患領域別ホワイトペーパーの提供
双方向コミュニケーションサービス『Webinar Lounge』(2023年秋頃提供開始)
様々なWeb講演会を分析していく中で、視聴者からのリクエストが多いのが双方向のコミュニケーションについてです。当社でも双方向のコミュニケーションサービスについて検討を重ねております。そして開発中ではありますが、2023年秋ごろ、「Webinar Lounge」というサービスを提供予定です。
「Webinar Lounge」はWeb講演会やハイブリッド型の講演会に参加する医師の、講演会で生じる疑問をその場で解決し、必要な情報を提供します。
オンライン空間を利用した、医師同士のディスカッションや、メーカー担当者とのオンライン面談などの双方向のコミュニケーションが可能となるサービスです。
さいごに
当社では、様々な動画活用のシーンにおいて専門的な視点や業界の課題に対するソリューション展開を連携し、付加価値の高い動画サービス分析サービスを提供しています。
「Webinar Lounge」から、ログを「WebinarAnalytics」に連携することで先生の行動データを分析することも可能と考えられます。今後も、様々なソリューションを提供、提案していきます。