2017年から変化した医療系ポータルサイトの利用実態
(2023年秋号)
「DM白書」では、チャネル別利用意向やメディアマインドシェアといった定期的に調査している項目に加えて、毎号「特集」として時代のトレンドに合わせた設問を用意し、医師の利用状況や利用意向を調査しています。本記事では、2023年秋号の特集テーマである「医療系ポータルサイトの利用実態」の選定背景および調査結果の概要をご紹介します。
本記事は、製薬業界の動向を把握していただくことを目的としています。
DM白書に掲載されている詳細なデータについては、本記事では取り扱っておりませんのでご了承ください。
医療系ポータルサイトへアクセスする目的は何か?処方判断の影響を受けているか?
選定背景
2020年のコロナ禍以前は、情報収集効率化の観点において、医療系ポータルサイトで提供される製薬企業のコンテンツの利用意向は65%程度でしたが※1、コロナ禍を経た現在では、その利用意向は76%程度まで増加しています。※2
そうした中、製薬会社からは以下のような疑問の声が挙がっています。 ・医師は医療系ポータルサイトでどのような情報を閲覧しているか ・製薬企業ウェブサイトと医療系ポータルサイトをどのように使い分けているか ・効果的に医師へ情報提供するにはどのメディアを活用するのがよいか また、MCI DIGITALとしても、医療系ポータルサイトの利用状況に関する調査は2017年冬号での調査が最後となっておりました。
そこで、「DM白書2023年秋号」では、医療系ポータルサイトの利用実態を中心に、以下内容を調査しました。
・各医療系ポータルサイトの利用頻度は?※3 ・製薬企業提供コンテンツの閲覧状況と処方の参考有無について ・各医療系ポータルサイトにアクセスする目的は何か?さらに、目的別に最も評価するサイトはどれか?※4 ・閲覧後に製薬企業ウェブサイトへ詳細を確認する頻度は?
※1 「医師版マルチメディア白書2019年冬号」疾患・薬剤情報取得の効率化のためのデジタルチャネル利用意向 ※2 「医師版マルチメディア白書2023年夏号」疾患・薬剤情報取得の効率化のためのデジタルチャネル利用意向 ※3 調査対象メディア:m3、日経メディカルOnline、CareNet、Medpeer、Medical Tribune ※4 アクセスする目的は次から選択:特定の薬剤情報を調べる、特定の薬剤に関する医師の評価を確認する、製薬企業主催のインターネット講演会を視聴する、製薬企業MRと連絡を取る、最新ニュースを確認する、特定疾患に関する最新情報を確認する、医師同士のコミュニケーション、ポイントを貯める・使う
調査結果概要
調査の結果、多くのメディアで、週1回以上利用している医師の割合は80%以上であり、ほぼ毎日利用している医師の割合もとても高く、2017年冬号の調査結果と比較しても利用頻度が大幅に増えていることが分かりました。 また、製薬企業が提供するコンテンツを閲覧している割合も、2017年冬号の調査結果よりも増加し、半数近くの医師が、製薬企業が提供するコンテンツを閲覧したことで処方の参考になったことがあることが分かりました。
今回の調査では、医療系ポータルサイトで特定の薬剤情報や特定の薬剤に関する医師の評価を確認した後、製薬企業ウェブサイトへ詳細を確認する割合が高いことも分かります。医療系ポータルサイトごとにアクセスする目的が異なる、目的ごとに最も評価するサイトが異なるなど、サイトの特性に合わせて情報提供を考えていくことも重要であると考えられます。
本結果を、医療系ポータルサイトを含めたオムニチャネルマーケティング戦略の検討、特に、製薬企業ウェブサイトと医療系ポータルサイトの使い分けや連携の検討について、ご利用いただくことができると思います。
※本データの詳細は「DM白書2023年秋号」掲載