「医師の働き方改革」による情報収集への影響について(2023年夏号)
「医師版マルチメディア白書」では、チャネル別利用意向やメディアマインドシェアといった定期的に調査している項目に加えて、毎号「特集」として時代のトレンドに合わせた設問を用意し、医師の利用状況や利用意向を調査しています。本記事では、2023年夏号の特集テーマである「「医師の働き方改革」による情報収集への影響」の選定背景および調査結果の概要をご紹介します。
本記事は、製薬業界の動向を把握していただくことを目的としています。
DM白書に掲載されている詳細なデータについては、本記事では取り扱っておりませんのでご了承ください。
「医師の働き方改革」に向けた、医師の情報収集活動の影響を探る
選定背景
医師の時間外労働の上限設定や、連続勤務時間の制限などが設けられる「医師の働き方改革」が2024年4月からスタートします。これに伴い、医師の時間の使い方が大きく変わり、薬剤・疾患関連の情報収集方法に影響が出ることが予想されます。
また、2020年以降のコロナ禍を経験したことで、医師の情報収集活動がデジタルへとシフトしてきていることもわかってきています。※1
そのような状況を踏まえ、各製薬会社にとって
・「医師の働き方改革」によって各チャネルの情報収集時間が今後どのように変化するのか?
・特にMRとの面談時間にどの程度影響が出るのか?
といった「医師の働き方改革」による情報収集活動への影響はとても高い関心テーマとなっています。
そこで、「医師版マルチメディア白書2023年夏号」では、2024年の開始に向け準備が進む中、「医師の働き方改革」が及ぼす医師の情報収集活動への影響について、以下内容を調査しました。
・勤務先施設での医師労働時間短縮計画策定状況
・時間外労働時間の上限設定が適用されることで薬剤・疾患関連情報の収集時間がどのように変化すると思っているか
(チャネル全体の変化とチャネル別※2の変化)
・情報収集時間が「増えると思う」と回答した医師と「減ると思う」と回答した医師の割合、それぞれの医師の特徴は何か
・情報収集の効率化に向けて、製薬会社に期待していることは何か※3
※1「医師版マルチメディア白書」メディアマインドシェアの推移、処方行動が変化した薬剤の情報入手先(情報源) の推移
※2調査対象チャネル:MR(面談)、MR(リモート面談)、MR(メール)、インターネットサイト(インターネット講演会を含まない)、インターネット講演会(インターネット上にて視聴できる講演会)、現地開催の講演会、製薬企業主催の勉強会・説明会、学会
※3製薬会社に期待していることは次から選択:面談とメールによる情報提供の使い分け、訪問面談とリモート面談による情報提供の使い分け、製品説明会の定期開催、高度な対話型チャットボット(AI)サービス、インターネット講演会のオンデマンド配信(録画配信)、音声のみで情報収集できるコンテンツ・サービス、スマートフォン、iPad等のタブレット端末でのウェブサイト閲覧時の利便性向上
調査結果概要
調査の結果、弊社の想定に反して、勤務先施設で医師労働時間短縮を計画推進中・計画策定中の医師が薬剤・疾患関連情報の収集時間が「増えると思う」と回答した割合は、「減ると思う」と回答した割合よりも高い結果となりました。
これは、勤務先施設の「働き方改革」により、薬剤・疾患関連情報の収集により多くの時間を割ける医師と、そうでない医師がいることを示していると考えられます。また、医師の志向性による違いがあることが分かりました。
チャネル別で見ても、メディアマインドシェアや志向性の違いによる傾向の違いが確認できました。これにより、製薬会社は医師の属性や志向性に合わせた対応が求められると考えられます。(MRチャネルにおいては、医師の勤務先施設の訪問規制状況も影響を与えていると思われます。)
本結果を、「医師の働き方改革」の施行に向けたオムニチャネル戦略上の取り組むべき課題検討や、医師の属性や志向性に合わせた各チャネルのリソース最適化などの検討材料にもご利用いただくことができると思います。
※本データの詳細は「医師版マルチメディア白書2023年夏号」掲載